
防振部品は、機械の振動や衝撃を吸収・遮断して、装置や周囲環境への影響を軽減するための要素部品です。
代表的なものに「ラバーマウント」「防振ゴム」「ダンパ」「防振パッド」などがあり、モータやコンプレッサ、ファン、工作機械などの回転振動源で広く使用されています。
防振部品とは(基礎知識)
防振部品は、弾性体(主にゴム・ウレタン・金属バネなど)を介して機械を支持することで、振動エネルギーを吸収・減衰させる機械要素です。
構造物やフレームに伝わる振動を抑えることで、騒音低減や装置精度の向上、機械寿命の延長につながります。
- モータ・ファン・コンプレッサなどの回転振動源の防振
- 機械精度維持のための微振動吸収
- 設備基礎への衝撃伝達の防止
- 装置搬送時の緩衝保護
防振部品の種類
1. ラバーマウント(防振ゴム)
- 円筒形マウント:上下方向の荷重支持に使用。一般的な防振構造。
- ボルト貫通形/両ねじ形:取付容易でモータ・ポンプに多用。
- 円錐形マウント:横揺れ・衝撃吸収に優れる。
- 低周波マウント:防振性能が高く、精密機械・測定装置に使用。
2. 防振パッド
- ゴムパッド:床設置用の簡易防振。設置が容易で低コスト。
- コルク+ゴム複合型:荷重分散と高減衰を両立。
- 鋼板入複層型:重量機器やプレス機の下に設置。
3. ダンパ(減衰器)
- オイルダンパ:粘性抵抗によって振動を吸収。揺動抑制に最適。
- 空気バネ(エアマウント):高精度防振。半導体製造装置などに使用。
- 粘弾性ダンパ:温度依存性が低く、構造物・架台などに用いられる。
主な用途
- モータ・ブロワ・コンプレッサの防振支持
- ポンプ・減速機の基礎振動吸収
- 工作機械・精密装置の微振動対策
- 空調機器・冷凍機の騒音・共振防止
- 電子機器・制御盤の衝撃吸収
材質と性能の選び方
材質 | 特徴 | 耐熱温度 | 用途 |
---|---|---|---|
天然ゴム(NR) | 弾性・耐摩耗性に優れる | -30〜80℃ | 一般産業機械 |
ニトリルゴム(NBR) | 耐油性良好・モータ回り向け | -30〜100℃ | 油圧・機械装置 |
クロロプレンゴム(CR) | 耐候性・耐オゾン性に強い | -30〜100℃ | 屋外機・空調機 |
EPDM | 耐熱水・薬品性高い | -40〜150℃ | 食品・薬品設備 |
ウレタン・金属バネ複合 | 高剛性・長寿命 | -20〜120℃ | 重量機械・プレス |
主なメーカー一覧
- 倉敷化工株式会社(Kurashiki Kako):防振ゴム・防振マウントの国内大手。建機・産機・車両分野に強い。
公式サイトはこちら - ブリヂストン化工品ジャパン株式会社:防振ゴム・空気バネなど、幅広い防振技術を展開。
公式サイトはこちら - オイレス工業株式会社(OILES):メンテナンスフリーの軸受・防振機構に強み。
公式サイトはこちら - 東海ゴム工業株式会社(住友理工):自動車用防振技術を産業用途へ展開。
公式サイトはこちら - ミスミグループ本社:防振ゴム・マウント・ダンパの標準品を即納。
公式サイトはこちら - THK株式会社:高精度防振台・エアマウントなど、精密装置分野で強み。
公式サイトはこちら
メーカー比較表
メーカー | 主力製品 | 特徴 | 用途分野 |
---|---|---|---|
倉敷化工 | 防振ゴム・マウント | 信頼性・実績豊富 | 産業・建機 |
ブリヂストン | 空気バネ・防振材 | 大荷重・高減衰 | 設備・建設機械 |
オイレス工業 | メンテナンスフリー防振部材 | 潤滑不要・長寿命 | 設備・建築構造 |
住友理工 | 防振ゴム・防振ユニット | 自動車技術応用 | FA・輸送機器 |
ミスミ | 規格防振マウント | 短納期・低コスト | 試作・装置設計 |
THK | 精密防振台・エアマウント | 高精度・低振動 | 半導体・分析装置 |
購入先・販売サイト
Q&A(よくある質問)
Q. 防振マウントは硬い方が良い?
A. 荷重が軽いのに硬度の高いマウントを使うと、防振効果が低下します。
荷重・振動周波数に合わせて、固有振動数が10〜15Hz程度になるよう選定するのが理想です。
Q. 防振ゴムの寿命はどれくらい?
A. 一般的に5〜10年が目安です。熱・油・オゾンなどの環境によって硬化・亀裂が進むため、定期点検・交換が必要です。
Q. 精密機械の防振ではどんな製品が向いていますか?
A. エアマウント(空気ばね式)や粘弾性ダンパが最適です。
THKやブリヂストンの高精度タイプは、微振動対策や電子顕微鏡にも採用されています。