
スライドレール(Slide Rail)は、直線方向に滑らかに動くための案内部品です。
引き出し・筐体・装置フレーム・機構部品の可動箇所に使用され、ボールベアリングなどによって軽い操作感と高い耐荷重性を実現しています。
リニアガイドよりも安価で、簡易直動機構やストローク機構に最適です。
スライドレールとは(基礎知識)
スライドレールは、複数のスチールレールを伸縮させて直線動作を実現する機械要素です。
内部にはボールベアリングが配置されており、金属同士の摩擦を低減して滑らかな引き出し動作を可能にします。
FA機器からオフィス家具、電子機器の筐体まで幅広く使われています。
- 安価で取り付けやすく、メンテナンスも容易
- 荷重・ストロークに応じて多様なサイズが選べる
- リニアガイドより精度は低いが、柔軟な用途に適する
スライドレールの構造と動作
一般的なスライドレールは「2段式」または「3段式」で構成され、外側・中間・内側のレールが相互に伸縮します。
各段の間には鋼球(ボールベアリング)が組み込まれ、スムーズな摺動を実現します。
- 2段式:中間レールを介して伸縮する基本構造。引き出しストロークは約70〜80%。
- 3段式:最大まで引き出せるフルストロークタイプ。装置内アクセスに便利。
- ソフトクローズ機構付き:引き込み時にダンパで静かに閉まる。
- ロック機構付き:完全に引き出した位置や収納位置で固定可能。
- 脱着式タイプ:内レールを簡単に外せる構造で、メンテナンス性が高い。
スライドレールの種類
- ボールスライドレール:最も一般的。静音・耐久・滑らかな動作。
- ローラースライド:コスト重視の簡易タイプ。家具・装飾用に。
- ダブルエクステンション:3段伸縮でフルストローク可。
- ヘビーデューティレール:厚鋼板構造で100kg以上の荷重に対応。
- 底付け型・側付け型:装置構造や取付位置に応じて選択。
- リニアスライド(精密用):リニアガイドの簡易版として使用。
主な用途
- 制御盤・サーバラック・電源ユニットの引き出し機構
- 工具箱・ストレージキャビネット・引き出し収納
- 自動販売機・券売機・コピー機などの整備アクセス機構
- FA装置・検査機器の可動ユニット
- 車両・鉄道・航空機の収納・搭載機構
スライドレールの選定ポイント
- 荷重:使用条件の1.3倍以上の許容荷重を確保する。
- 取付方向:水平・垂直・天吊りで性能が変わる。データシートを参照。
- ストローク:必要な可動距離に応じて2段/3段タイプを選択。
- 環境:防塵・防錆・静音性を考慮。ステンレス製も選択可能。
- メンテナンス:脱着式は清掃・交換が容易。
主なメーカー一覧
- スガツネ工業株式会社(LAMP):家具用から産業用まで幅広いスライドレールを展開。
公式サイトはこちら - 中央精機株式会社(CHUO SEIKI):精密ステージやリニアスライドなど高精度製品を展開。
公式サイトはこちら - THK株式会社:リニアガイドの技術を応用した高剛性スライドレールを製造。
公式サイトはこちら - ミスミグループ本社:ボールスライド・重荷重・脱着型など多様なEC在庫を即納。
公式サイトはこちら - アキュライド(Accuride):世界的スライドレールメーカー。高荷重・静音・家具・産業用双方をカバー。
公式サイトはこちら - 南海工業株式会社(NANKAI):国内家具・筐体用スライドの専門メーカー。
公式サイトはこちら
メーカー比較表
メーカー | 主力タイプ | 特徴 | 用途分野 |
---|---|---|---|
スガツネ工業 | ボールスライド・ソフトクローズ | 設計自由度・品質安定 | 筐体・家具・機械装置 |
THK | 高剛性スライド・リニアタイプ | 精度・耐久性に優れる | FA・検査装置 |
中央精機 | 精密リニアスライド | 微動・調整機構に強い | 光学・計測 |
ミスミ | 標準・重荷重・脱着型 | EC即納・コスパ良好 | 装置設計・試作 |
Accuride | 産業用・家具用・ヘビーデューティ | グローバル規格対応 | サーバラック・輸送機器 |
南海工業 | 家具・什器用 | 静音・デザイン性 | インテリア・設備 |
購入先・販売サイト
Q&A(よくある質問)
Q. リニアガイドとスライドレールの違いは?
A. リニアガイドは精密直動案内で位置決め精度が高く、産業機械の移動軸に使われます。
スライドレールは軽負荷・ストローク可動部に向いており、コスト・取付性に優れています。
Q. 3段スライドレールの耐荷重は?
A. 一般的に30〜100kgですが、ヘビーデューティ仕様では200kg級もあります。
耐荷重は取付方向・レール長・伸長比によって変化します。
Q. 防塵・防錆仕様はありますか?
A. ステンレス製やニッケルメッキ品が一般的です。
粉塵や水分の多い環境では、封入式ボールタイプやグリース付与仕様を選ぶと効果的です。