ベーンポンプとは?構造・種類・用途・メーカーをわかりやすく解説

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ベーンポンプ(Vane Pump)は、円筒ローターのスロットに差し込まれたベーン(羽根)が回転運動し、流体を送り出す容積式ポンプです。

滑らかな流量と静音性を兼ね備え、油圧装置や工作機械、冷媒循環など多様な分野で使用されています。

この記事では、ベーンポンプの構造・種類・用途・代表メーカーをわかりやすく解説します。




ベーンポンプとは?(基礎知識)

ベーンポンプは、回転ローターの溝に挿入されたベーンが遠心力や油圧によってケーシング内面に接触し、密閉容積を形成することで流体を吸入・吐出する構造を持つポンプです。

ギアポンプと同じく容積式ポンプに分類され、比較的高圧・高効率で安定した流量を得られます。

構造と仕組み

基本構成は以下の通りです。

  • ローター:中心にベーンを装着した円筒状の回転体。
  • ベーン:スロットに挿入され、遠心力または油圧で外周に押し付けられる羽根。
  • カムリング(ケーシング):偏心構造で吸入・吐出空間を形成。
  • 吸込口・吐出口:流体を取り入れ、押し出す開口部。
  • シャフトシール:液漏れを防止。

作動原理

ローターが回転すると、ベーンがスロット内をスライドしながらケーシング内面に追従します。

偏心した空間の体積変化によって吸入側では負圧が生じ、流体が吸い込まれ、吐出側では圧縮されて送り出されます。

特徴

  • 脈動が少なく、安定した流量を供給できる。
  • 静音性に優れ、低振動。
  • 中粘度〜高粘度液に対応可能。
  • 油圧ポンプとして高効率。
  • 構造がコンパクトでメンテナンスが容易。

ベーンポンプの種類

  • シングルベーンポンプ:1つのローター・ケーシング構造。標準的な油圧用。
  • ダブルベーンポンプ:2つのポンプ室を持ち、2系統の吐出が可能。複合油圧回路に最適。
  • バランスタイプ:偏心荷重を打ち消す構造で、長寿命・低騒音。
  • ウェットタイプ:潤滑油と作動油を兼用。油圧ユニット向け。
  • ドライタイプ:潤滑を分離した構造で、冷媒・気体移送にも対応。

用途

  • 油圧ユニット・工作機械の制御回路
  • 建設機械・射出成形機・プレス装置
  • 冷媒・冷却油の循環ポンプ
  • 燃料供給・潤滑装置
  • 真空ポンプの補助装置

選定のポイント

  • 必要流量・圧力・回転数
  • 作動油・流体の粘度
  • 許容騒音レベル・環境条件
  • メンテナンス周期・交換部品の入手性
  • 使用温度・設置方向

主なメーカーと特徴

株式会社ダイキン工業

油圧用ベーンポンプで高シェア。静音・省エネモデルが豊富。
公式サイトはこちら

日本オイルポンプ株式会社(NOP)

潤滑・油圧用ポンプの総合メーカー。ギア・ベーン・ロータリーポンプを展開。
公式サイトはこちら

パーカー・ハネフィン株式会社(Parker Hannifin)

グローバル油圧機器メーカー。産業用・モバイル油圧システムに強い。
公式サイトはこちら

ダナソン株式会社(Danfoss)

油圧制御と冷媒ポンプを展開。バランスタイプ・高圧対応モデルが豊富。
公式サイトはこちら

メーカー比較表

メーカー 主力製品 特徴 主な用途
ダイキン工業 油圧用ベーンポンプ 静音・省エネ設計 工作機械・油圧装置
NOP 潤滑・油圧用 耐久性・メンテ性 設備・プレス機器
パーカー 産業用油圧ポンプ 高圧・高信頼 FA・建機
ダナソン 冷媒・油圧兼用 バランス設計・省エネ 冷却装置・機械設備

購入先・通販サイト

Q&A

Q. ベーンポンプとギアポンプの違いは?

A. ギアポンプは高粘度液に強く、脈動が少ないのが特徴。ベーンポンプは静音性・定圧供給に優れます。

Q. 騒音を抑えるには?

A. バランスタイプの採用や、吸込側のエア混入防止が効果的です。

Q. ベーンはどのくらいで交換が必要ですか?

A. 使用時間2,000〜5,000時間が目安。摩耗や欠けが見られた場合は早めの交換を推奨します。

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