
真空発生器(Vacuum Generator)や真空ユニットは、圧縮空気を利用して負圧(真空)を作り出す装置です。
吸着パッド(バキュームパッド)などと組み合わせて、ワークの搬送・保持・固定などに広く使われます。
この記事では、真空発生器・真空ユニットの仕組み・種類・用途・代表メーカーをわかりやすく解説します。
真空発生器・真空ユニットとは?(基礎知識)
真空発生器とは、圧縮空気や電動ポンプを利用して空間から空気を吸引し、内部を負圧(真空状態)にするための装置です。
主に搬送ロボット、吸着治具、包装装置、検査工程などで使用されます。
電源を使わずに圧縮空気だけで真空を作る「エジェクタ式(真空エジェクタ)」と、電動ポンプを使う「真空ポンプ式」に大別されます。
構造と仕組み
基本構造は、エジェクタノズルまたは真空ポンプ部、真空圧力センサー、フィルター、サイレンサーなどで構成されます。
- エジェクタノズル:圧縮空気を高速噴出させることで負圧を発生。
- 真空ポンプ部:電動または油回転式で連続吸引を行うタイプ。
- 真空センサー:吸着状態を監視し、制御信号を出力。
- 真空フィルター:吸引時に粉塵・異物を除去。
- 真空リリースバルブ:吸着解除時にエアを供給してワークを離す。
動作原理
真空発生器は次のような原理で負圧を発生します。
- コンプレッサから供給された圧縮空気をエジェクタノズルに通す。
- ノズル部で空気が高速流となり、ベルヌーイの定理により周囲の圧力が低下。
- チャンバー内が負圧となり、吸着パッドを介してワークを保持。
- リリースバルブ開放により、エアを逆流させて解除。
電動真空ユニットの場合は、モーター駆動のポンプで吸引を行い、安定した真空圧を維持します。
真空発生器・真空ユニットの種類
① エジェクタ式(空圧駆動)
圧縮空気を利用して真空を発生させる方式。軽量・小型でレスポンスが早く、ロボットハンドなどに多用されます。
- 電源不要・軽量・コンパクト
- 吸着/解除が高速
- 用途:吸着搬送・小型自動機・検査装置
② 電動ポンプ式
電動モーターでポンプを駆動し、連続的に吸引する方式。安定した真空を長時間維持可能。
- 安定圧・高真空
- 静音・省エネ制御対応
- 用途:包装機・吸着冶具・真空チャック
③ 真空ユニット(統合型)
真空発生・制御・フィルタ・センサー・バルブなどを一体化したモジュール。FA・ロボットの省配線・省配管に最適。
- 省スペース・配線一体型
- センサー信号で吸着検知可能
- 用途:多軸ロボット、搬送装置、パレタイジング装置
用途
- ワーク搬送・吸着ハンド・ロボットピッカー
- 包装機・真空シーラー・封止装置
- 検査装置・測定機器の固定治具
- 真空チャック・CNC加工機のワーク固定
- 電子部品・フィルム・基板などの吸着搬送
選定のポイント
- 必要真空度(−kPa)と流量(L/min)
- 吸着対象のサイズ・重量・漏れ量
- 電動式/エア駆動式の選定
- 応答速度(ms単位)とリリース性能
- 省エネ性能(エジェクタ排気制御・停止制御)
主なメーカーと特徴
SMC株式会社
エジェクタ式真空発生器の世界的リーダー。ZL・ZX・ZKシリーズなどを展開。省エネ制御・一体型ユニットが豊富。
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CKD株式会社
真空発生器と電磁弁・センサーを一体化したコンパクトユニットを展開。制御盤組込みや小型自動機に最適。
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コガネイ株式会社
真空エジェクタ・真空バルブ・パッドなど空圧一体ソリューションを提供。
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ピスコ株式会社(PISCO)
チューブ・継手と統合しやすい小型真空発生器を多数展開。分析装置・研究機器にも採用。
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オリオン機械株式会社
電動ポンプ式真空ユニットを展開。高真空・低騒音タイプが多く、連続運転用途に強い。
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メーカー比較表
メーカー | 主力製品 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|---|
SMC | ZL・ZK・ZXシリーズ | 省エネ・多機能・世界標準 | FA・ロボット搬送 |
CKD | VGS・VGRシリーズ | 一体型制御ユニット | 自動機・小型装置 |
コガネイ | VE・VPシリーズ | 軽量・コンパクト | ハンド・吸着治具 |
ピスコ | VG・VPシリーズ | 配管一体化・高応答 | 分析・検査装置 |
オリオン機械 | VPUシリーズ | 電動ポンプ式・静音 | 包装・連続吸引 |
購入先・通販サイト
Q&A
Q. 真空発生器と真空ポンプの違いは?
A. 真空発生器は圧縮空気を利用するタイプで軽量・応答性が高く、
真空ポンプは電動駆動で高真空・長時間運転に適しています。
Q. 真空ユニットのメンテナンスで注意する点は?
A. フィルターの清掃・ノズルの詰まり・真空センサーの校正が重要です。
エジェクタ式ではエア供給圧が不足すると吸着力が低下します。
Q. 真空漏れ対策はどうする?
A. 継手部のシールチェックや真空パッドの摩耗点検を定期的に行うことで防止できます。
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