
頭部のケガは労働災害の中でも重大事故につながりやすいため、現場での作業には保護帽(ヘルメット)の着用が不可欠です。
本記事では、保護帽の種類や規格、選び方、主要メーカーを解説し、安全に使用するためのポイントをまとめます。
保護帽(ヘルメット)の役割
保護帽は、落下物や飛来物、転倒・墜落時などの衝撃から頭部を守るための装備です。
製造業、建設業、倉庫作業、電気工事など、あらゆる現場で安全対策の基本となります。
保護帽の種類
用途や環境に応じて、保護帽にはいくつかのタイプがあります。
種類 | 用途・特徴 |
---|---|
飛来・落下物用 | 上方からの落下物に対応(建設・組立作業) |
墜落時保護用 | 高所作業・足場作業向け、顎紐必須 |
電気用 | 最大7,000Vの電気絶縁性能を持つ |
一般作業用 | 軽作業・検査・物流など向け |
防災用 | 災害時の避難・救助活動向け(折りたたみ式もあり) |
保護帽の構造
保護帽は、主に3つの構造要素から成ります。
- 帽体: ABS樹脂やFRPなどの外殻部分。衝撃吸収と耐候性を持つ。
- 衝撃吸収ライナー: 内側の緩衝材。頭部への衝撃を分散。
- ハンモック(内装): 頭との間に隙間を作り、衝撃をやわらげる構造。
安全規格と表示
日本では、保護帽の安全性はJIS T 8131~8133によって規定されています。
使用目的ごとに対応規格を確認することが大切です。
規格番号 | 対象 | 内容 |
---|---|---|
JIS T 8131 | 産業用保護帽 | 飛来・落下物用、墜落時保護用 |
JIS T 8132 | 電気用保護帽 | 高電圧作業向け |
JIS T 8133 | 防災用保護帽 | 災害・避難用途 |
選び方のポイント
- 使用環境: 高所・工場内・屋外・電気作業などに応じてタイプを選定
- 材質: ABS樹脂は軽量で汎用性高く、FRPは耐熱性に優れる
- 内装構造: 吊りバンド式・固定式など装着感で選ぶ
- 通気性: 夏場の作業にはベンチレーション付きが快適
- 顎紐・ライナーの有無: 墜落時保護型には必須
定期点検と交換時期
- 使用開始から3年以内が交換目安(メーカー推奨)
- 外観にヒビ・変形・色あせが見られた場合は即交換
- 保管時は直射日光や高温多湿を避ける
- 定期的に衝撃吸収ライナー・内装部品を交換する
主要メーカーと特徴
トーヨーセフティー(TOYO SAFETY)
国内シェア上位メーカー。軽量タイプやデザイン性の高いモデルが多く、電気用・防災用など幅広いラインナップ。
ミドリ安全
安全靴や保護具を総合展開。通気機能付きモデルや高所作業対応型が豊富。
重松製作所
防じんマスクや呼吸保護具で有名。電気用・耐熱型ヘルメットの信頼性が高い。
スリーエム(3M)
世界的メーカー。軽量構造と快適なフィット感に優れる欧米仕様モデルを展開。
進和化学工業
作業環境・防災分野で高評価。ベンチレーション付きや遮熱タイプも人気。
おすすめのヘルメットを探す
Q&A
Q. ヘルメットは何年使用できますか?
A. 材質にもよりますが、一般的には使用開始から3年以内の交換が推奨されています。
Q. ヘルメットの色に意味はありますか?
A. はい。多くの現場では職種ごとに色を分けています(例:白=管理職、黄=作業者、青=電気工事、緑=安全担当など)。
Q. 防災用と作業用の違いは?
A. 防災用は軽量・折りたたみ式が多く、一時的な使用を想定。作業用は衝撃吸収構造が強化されています。