
安全柵・ガードフェンスの役割|種類・設置基準・メーカー比較
工場や倉庫などの現場では、人と機械を分離して安全を確保するために安全柵(ガードフェンス)が設置されます。
近年は自動化設備・ロボット導入の増加により、設備保護と作業者保護の両面で重要性が高まっています。
本記事では、安全柵・ガードフェンスの目的、種類、設置基準、主要メーカーについて解説します。
安全柵・ガードフェンスの目的
安全柵は、危険区域への立ち入りを防止し、機械の可動部や搬送ラインによる事故を防ぐために設置されます。
- 作業者の保護: 回転体・昇降部・搬送機構への接触防止
- 設備の保護: フォークリフトや搬送車との衝突防止
- 区画管理: 危険エリアと安全エリアを明確化し、安全動線を確保
- 法令遵守: 労働安全衛生法に基づく安全対策として必要
主な種類
種類 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|
スチールメッシュフェンス | 強度が高く、ロボットや搬送装置の周囲に多用 | 産業用ロボット・自動ライン囲い |
アルミフレームフェンス | 軽量で加工性に優れる。デザイン性が高い | クリーンルーム・軽装置区画 |
樹脂パネルフェンス | 視認性が高く、軽作業現場に適する | 組立・検査ラインの安全対策 |
ガードパイプ・バリカー | 車両や台車との衝突防止。床固定タイプ | 倉庫通路・フォークリフト走行路 |
スイングドア・スライドドア付 | 出入口部に設置し、作業効率と安全性を両立 | 搬入口・点検エリア |
設置基準と安全距離
日本産業規格(JIS B 9700シリーズ)およびISO 13857により、安全柵と危険源の間隔(安全距離)が定義されています。
- 安全距離: 作業者の腕や手が可動部に届かない距離を確保(例:120mm以上)
- 高さ基準: 通常1.2m〜2.0m程度。機械高さや危険源に応じて設計
- 施錠構造: メンテナンス用ドアにはインターロック装置を設ける
- 材質選定: 強度・視認性・防錆性を考慮し、設置環境に合わせる
設計時のポイント
- 作業エリア・通路幅を考慮して干渉を防止
- メンテナンス時の開口部は安全スイッチ連動型にする
- 視認性を確保し、作業員の存在を容易に確認できる構造とする
- ロボット周囲ではISO 10218(産業用ロボット安全規格)を参考に設計
主要メーカーと特徴
アイテック(AiTEC)
産業用安全フェンスの国内有力メーカー。スチール・アルミ両方に対応し、モジュラー構造で組立が容易。
ミスミ(MISUMI)
設計自由度が高いアルミフレームフェンスを展開。オンライン設計・短納期が強み。
日東工業
電機機器・制御盤と連動した安全ガードシステムを提供。電気設備との統合管理に優れる。
パトライト(PATLITE)
警報灯や表示灯と連携した安全警告システムを展開。フェンスと連動した警告制御も可能。
タクミナ・オムロン
安全センサやスイッチとの組合せによるフェンス安全制御を実現。
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Q&A
Q. アルミとスチール、どちらが良いですか?
A. 強度を求めるならスチール、軽量性・デザイン性を重視するならアルミが適しています。
Q. フェンスの高さに規定はありますか?
A. 危険源の位置や種類に応じて変わりますが、一般的に1.5m以上が推奨されています。
Q. 安全スイッチは必ず必要ですか?
A. メンテナンス扉など、開閉により危険源にアクセス可能な箇所には設置が義務付けられています。