非常停止装置(E-Stop)の仕組み|種類・設置基準・メーカー比較

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工場や生産ラインでの突発的な危険を防ぐために欠かせないのが非常停止装置(E-Stop)です。

人身事故や設備損傷を未然に防止するため、あらゆる機械に設置が義務付けられています。

本記事では、非常停止装置の仕組み・設置基準・種類・主要メーカーをわかりやすく解説します。




非常停止装置(E-Stop)とは

非常停止装置(Emergency Stop)は、緊急時に機械の動作を瞬時に停止させるための安全装置です。

誤操作・異常動作・人の転倒・巻き込みなどの緊急事態に対応し、危険を最小限に抑える役割を果たします。

  • 目的: 人命の保護、設備損傷の防止、災害拡大の防止
  • 動作原理: 押しボタンまたはワイヤ式スイッチにより、電源遮断や制御回路停止を行う
  • 復帰: 危険要因が除去された後、手動でリセット(引出・回転)操作が必要

設置義務と法令基準

  • 労働安全衛生規則 第107条: 「作業者が容易に操作できる位置に非常停止装置を設けること」
  • JIS B 9703(ISO 13850): 非常停止装置の設計・機能・色・配置などの基準を定義
  • IEC 60204-1: 電気機械設備の安全要求事項としてE-Stopを義務付け

非常停止装置の種類

種類 特徴 主な用途
押しボタン式(プッシュロック) 最も一般的。赤いボタンを押すとロックされ、引き出すと解除 工作機械・搬送装置・制御盤
ワイヤ式(ロープスイッチ) 長距離ライン上でどこからでも操作可能 コンベヤライン・大型装置
キースイッチ式 管理者のみ操作可能。誤操作防止に有効 危険区域や制御室内設備
タッチセンサ式 軽接触で作動。高速回転機などの新型装置に採用 自動機・ロボット装置

設置位置と配色ルール

非常停止装置は、誰でも直感的に操作できるように、色や位置にも明確な基準があります。

  • 色: ボタン=赤、背景プレート=黄色(JIS Z 9103)
  • 高さ: 操作者が容易に届く範囲(0.6〜1.7m)
  • 間隔: 広いエリアでは10〜15m以内ごとに配置
  • 照明: 暗所では非常灯や表示灯と併用することが推奨

安全回路構成

非常停止装置は、安全リレーや安全PLCと組み合わせて安全制御システムを構成します。

  • 二重回路構成(デュアルチャンネル)により信頼性を確保
  • 自己診断機能により断線・接点溶着を検出
  • 安全リレー・セーフティコントローラとの連携でISO 13849-1に準拠

主要メーカーと特徴

オムロン(OMRON)

制御機器の大手。安全リレー・E-Stop・ライトカーテンなどを統合した安全システムを展開。

IDEC(和泉電機)

国内で高いシェアを誇るメーカー。小型・高信頼のE-Stopスイッチを多数ラインナップ。

三菱電機

PLC制御との連携に優れる。FA機器との統合設計が可能。

パナソニック産機システムズ

照光式E-Stopや安全センサとの連携に強み。見た目にも分かりやすい警報構成が可能。

シュナイダーエレクトリック

グローバル対応の安全スイッチを展開。IEC規格準拠で輸出機械にも適応。

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Q&A

Q. 非常停止スイッチは毎回リセットが必要ですか?

A. はい。誤作動防止のため、押下後は必ず手動で引き出しまたは回転解除する必要があります。

Q. 非常停止と非常電源遮断の違いは?

A. 非常停止は制御回路を停止させる装置、非常電源遮断は主電源を強制的に遮断する装置です。

Q. 設置点検はどのくらいの頻度で行うべき?

A. 定期点検(6か月以内)および始業前の作動確認が推奨されています。

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