
火災や災害時に人命を守るため、工場やオフィスでは防災・避難設備の定期点検が法律で義務付けられています。
本記事では、代表的な設備の種類、点検内容・周期、法令上のポイント、主要メーカーをわかりやすく整理します。
防災・避難設備の目的
防災設備は「初期消火」「避難誘導」「被害拡大防止」を目的に設置されます。
適切な点検と維持管理を行うことで、万一の際に確実に機能させることができます。
代表的な防災・避難設備
設備区分 | 主な設備 | 役割 |
---|---|---|
消火設備 | 消火器・屋内消火栓・スプリンクラー | 初期消火・火災拡大防止 |
警報設備 | 火災報知器・非常ベル・受信盤 | 火災の早期発見と周知 |
避難設備 | 誘導灯・非常口・避難はしご・滑り台 | 避難経路の確保と誘導 |
防煙・排煙設備 | 排煙窓・排煙ダクト・自動開放装置 | 煙による視界不良・窒息防止 |
防火設備 | 防火シャッター・防火戸 | 延焼拡大の防止 |
点検の種類と周期
消防法(第17条の3の3)により、防災設備は次の点検を実施することが義務付けられています。
点検区分 | 内容 | 頻度 |
---|---|---|
機器点検 | 外観・動作・設置状態の確認 | 6か月ごと |
総合点検 | 実際に作動させ、機能確認を行う | 1年ごと |
報告義務 | 消防署への点検結果報告(特定防火対象物など) | 1年または3年ごと |
点検の主なチェック項目
- 消火器の圧力ゲージ・期限・腐食の有無
- 火災報知器の警報・受信・復旧動作
- 誘導灯・非常灯の点灯・電池残量
- 排煙装置の作動・開閉テスト
- 防火シャッターの閉鎖試験・警報連動確認
点検の法的根拠
- 消防法 第17条: 消防用設備の設置・維持義務
- 消防法施行規則 第31条: 点検・報告の義務化
- 労働安全衛生法 第25条: 避難経路の確保・安全通路の設置
- 建築基準法 第35条: 防火区画・避難階段の設計基準
主要メーカーと特徴
能美防災
火災報知器・スプリンクラーなど防災設備の最大手。建築設備・工場向けシステムを多数提供。
ホーチキ(HOCHIKI)
火災検知器・非常ベルの国内大手メーカー。高信頼性の検知・警報システムで実績豊富。
パナソニック(Panasonic)
誘導灯・非常灯・非常放送設備を中心に、建物全体の防災電気設備を展開。
能登防災・モリタホールディングス
スプリンクラー・消火設備など水系防災装置に強み。大型工場・倉庫に採用多数。
因幡電機産業・三菱電機
避難誘導システムや防火シャッター制御システムを開発。
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Q&A
Q. 点検は自社で行ってもいいですか?
A. 消防設備士または防災管理者など、資格を持つ者による点検が原則です。外部委託も可能です。
Q. 点検結果はどこに報告しますか?
A. 消防法に基づき、所轄の消防署長へ報告書を提出する必要があります。
Q. 点検時に電源を落とせない設備は?
A. 実働試験が困難な場合は、模擬試験や予備系統の確認で代替することが可能です。