超音波探傷・漏れ検査の基礎|目に見えない欠陥・漏れを検出する技術

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超音波を利用した診断技術は、金属部品の内部欠陥や、配管・タンクの微小な漏れを検出するために広く活用されています。

この記事では、非破壊検査や漏れ診断における超音波技術の基礎と実践ポイントを紹介します。




超音波探傷とは?(基礎知識)

超音波探傷(UT:Ultrasonic Testing)は、超音波を材料内部に送り込み、反射波の変化から内部欠陥を検出する非破壊検査手法です。

金属部品・溶接部・構造材などを破壊せずに評価できるため、工場設備の保守点検に欠かせません。

  • 材料内部の割れ・ボイド・剥離を検出
  • 溶接部の欠陥・融合不良を確認
  • 肉厚減少・腐食の進行を定量評価

超音波探傷の原理と方法

探触子から発生した超音波が材料内部を伝播し、欠陥に当たると反射波(エコー)が返ってきます。

このエコーを表示装置で解析し、欠陥の位置や大きさを推定します。

探傷方式 特徴 主な用途
パルス反射法 送信と受信を同一探触子で行う方式。 溶接部・鋳造部の内部欠陥検査。
透過法 送信・受信を別々に配置し、音波透過を確認。 板材・パイプの品質管理。
フェーズドアレイ法 複数素子で音波角度を制御し、高精度検査。 高信頼性が求められる重要部材。

漏れ検査(リークテスト)への応用

超音波は、圧縮空気やガスが漏れる際に発生する高周波音を検出することにも応用されます。

耳では聞こえない「超音波領域(20kHz以上)」を捉えることで、微細な漏れ箇所を特定可能です。

対象設備 検出できる異常 診断方法
エア配管・ホース ピンホール、継手部からのエア漏れ リークディテクタで超音波を検知
冷却配管・真空ライン バルブ部・シール部の漏れ プローブで音源方向を特定
圧力容器・タンク 溶接部の割れ・ピンホール 表面スキャンで漏洩位置を確認

診断の流れ

  1. 測定対象を清掃し、探触子を密着(カプラント塗布)
  2. 超音波探傷器を設定し、波形(エコー)を確認
  3. 欠陥波形を特定し、距離・深さを算出
  4. 漏れ検査の場合は周波数帯を調整し、異常音を捉える
  5. 結果を保存・報告書化し、再検査時に比較

測定条件(温度、材質、厚み)を記録しておくことで、再測定時の信頼性が高まります。

結果の見方と判定例

エコー波形の特徴 想定される状態 対応策
反射波が途中で乱れている 内部割れ・剥離 部品交換または再溶接
エコーが複数重なって表示 多層欠陥・複数空隙 詳細検査を追加実施
反射波が異常に弱い 減衰増大・腐食進行 肉厚測定・腐食部修繕
異常な高周波音を検出 エア漏れ・ガス漏れ 漏れ箇所を特定し補修

代表的な探傷・漏れ検査機器

メーカー 主な製品・特徴
オリンパス(OLYMPUS) 高性能超音波探傷器。溶接検査・厚み測定に広く使用。
JFEアドバンテック 産業用超音波計測機器を多数展開。非破壊検査の大手。
キーエンス(KEYENCE) 非接触タイプのリーク検出器。エア漏れ検出に強み。
リオン(RION) 超音波リークディテクタなど、音響診断系に強み。

まとめ

超音波探傷・漏れ検査は、設備の「内部状態」を可視化する診断技術です。

非破壊で安全に検査できるため、稼働中設備の劣化確認や、予知保全の判断材料として欠かせません。

定期診断データの蓄積により、劣化の傾向を数値で把握できるようになります。



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