冷却水水質計の基礎と使い方|導電率・pHでわかる配管腐食とスケール管理

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冷却塔やチラー、熱交換器などの冷却系統では、水質の悪化が配管腐食・スケール付着・熱交換効率低下などのトラブルを引き起こします。

冷却水水質計は、これらの異常を「導電率(電気伝導度)」や「pH(酸・アルカリ度)」で定量的に診断できるツールです。




冷却水水質計とは?(基礎知識)

冷却水水質計は、水中の導電率(電解質濃度)やpHを測定し、水質の健全性を監視する計測器です。

水質管理の指標として、導電率=濃縮・スケールリスクpH=腐食リスクを意味します。

測定項目 意味 管理目安
導電率(μS/cm) 溶解塩類の濃度。値が高いほどスケールリスク増。 1,000〜2,000μS/cm以下を推奨
pH 酸・アルカリ度の指標。偏ると腐食や析出が発生。 6.8〜8.5の範囲を維持
塩素濃度(mg/L) 殺菌・藻類抑制効果の目安。 0.2〜0.6mg/L(冷却塔系)

診断の目的と効果

  • 冷却水配管・熱交換器の腐食を防止
  • スケール・スライム付着を早期に検知
  • 薬品投入(防錆剤・殺菌剤)の適正管理
  • 濃縮倍率(ブローダウン)の最適化

測定の流れ

  1. 冷却塔・チラーの循環水を採取(またはオンライン測定)
  2. 導電率計・pH計の電極を水中に浸す
  3. 測定値を確認し、過去データと比較
  4. 異常傾向(上昇・下降)をグラフ化してトレンド分析

代表的な測定器の種類

  • ハンディタイプ:現場で簡易測定可能。定期点検・サンプリング向け。
  • オンラインタイプ:配管に常設し、常時モニタリング・自動制御に対応。
  • 多項目水質計:導電率・pH・溶存酸素・塩素濃度などを同時測定。

代表的な診断傾向

異常傾向 考えられる原因 対策
導電率が上昇 濃縮水・ブロー不足・蒸発損失 ブロー頻度調整・補給水制御
pHが低下 酸性ガス吸収・スライム発生 防錆剤追加・pH調整剤補充
pHが上昇 藻類増殖・薬剤過多 濃縮倍率制御・殺菌剤適正化

代表的なメーカーと特徴

メーカー 特徴
HORIBA(堀場製作所) 水質計測器の国内トップ。ポータブルからオンラインまで展開。
東亜ディーケーケー(DKK) 冷却水・排水用の産業向けpH・導電率モニタを多数展開。
横河電機(YOKOGAWA) プロセス用pH・導電率センサの定番。
HACH(ハック) 冷却水・ボイラー水・飲料水分析の国際メーカー。
キーエンス(KEYENCE) 非接触導電率センサを提供、保全向け用途にも対応。

測定管理とデータ活用

  • 導電率とpHの月次データをトレンド管理(グラフ化)
  • 冷却塔・チラーごとに基準値・許容値を設定
  • 薬剤添加量・ブロー量と関連付けて最適運転を検討
  • 異常検出時は薬剤業者・保守業者と連携し迅速対応

まとめ

冷却水水質計は、設備を見えない部分から守る「冷却系の健康診断ツール」です。

pHや導電率を定期的に監視することで、腐食やスケールトラブルを未然に防ぎ、エネルギー効率と設備寿命を維持できます。

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