
グラビティラック(流動ラック)は、パレットやコンテナなどの荷物を「傾斜を利用して自動的に流動させる」ラックシステムです。
フォークリフトや人の移動を最小限に抑え、入出庫の効率化を実現します。
本記事では、グラビティラックの仕組み・種類・代表メーカーをわかりやすく解説します。
グラビティラックとは(基礎知識)
グラビティラック(Gravity Flow Rack)は、ローラーや傾斜レールを利用して荷物を自然に前方へ移動させるラックシステムです。
重力(グラビティ)の力を利用することで、電力を使わずに「先入れ先出し(FIFO)」の運用を実現できます。
主に物流倉庫、食品・飲料工場、部品供給ラインなどで採用されています。
基本構造
- フレーム(ラック本体)
- ローラー・ガイドレール
- ストッパー・ブレーキローラー
- 搬送補助ユニット(リフターや搬出コンベヤ)
導入メリット
- 入出庫作業の効率化(先入れ先出しが容易)
- 省スペース化と在庫回転率の向上
- 電力不要で省エネ運用が可能
- 人・フォークリフトの動線を最小化できる
種類と仕組み
① パレット用グラビティラック
パレット単位での保管・搬送を行うタイプ。傾斜ローラー上をフォークリフトで投入し、前方から取り出します。中〜大型倉庫に多く導入されています。
② ケース・コンテナ用流動ラック
軽量ケースやコンテナを対象としたタイプ。作業者が手で投入・取り出しを行い、製造ラインの部品供給棚としても利用されます。
③ セミオート式グラビティラック
ローラーの下にリフトユニットを備え、パレットの戻りや積み替えを自動で行うタイプ。AGV(無人搬送車)との連携も可能です。
主要メーカーと特徴
メーカー名 | 特徴 | 公式サイト |
---|---|---|
ダイフク(Daifuku) | 物流システム大手。大規模倉庫向けのパレット流動ラックを多数ラインナップ。 | 公式サイト |
明治機械製作所 | 高耐荷重のパレットラックを展開。特殊サイズにも対応可能。 | 公式サイト |
日本物流開発(NLD) | 自動倉庫・流動ラックを総合展開。カスタム対応が強み。 | 公式サイト |
三進金属工業 | パレットラック・流動棚の老舗。安全設計と豊富な実績を持つ。 | 公式サイト |
オカムラ | オフィス・物流機器総合メーカー。中小規模倉庫向けラックも充実。 | 公式サイト |
メーカー別比較
メーカー | 対応荷重 | 対応品目 | 特徴 | 主な導入分野 |
---|---|---|---|---|
ダイフク | 中〜大型 | パレット | 高耐荷重・大規模倉庫対応 | 物流センター |
明治機械製作所 | 中〜大型 | パレット | 堅牢構造で重荷重品に対応 | 製造業 |
日本物流開発 | 小〜大型 | パレット/ケース | 多様なカスタム設計 | 食品・化学 |
三進金属工業 | 中〜大型 | パレット | 高い安全性と安定品質 | 倉庫・生産ライン |
オカムラ | 小〜中型 | ケース・コンテナ | 軽量ライン向け | 部品供給・ピッキング |
導入時のポイント
- 扱う荷物の重量・サイズに適したローラーを選定する
- フォークリフト進入方向や通路幅を考慮する
- ストッパー・安全ガードの設置を徹底する
- メンテナンス性(ローラー交換・清掃)を考慮する
購入・導入の参考
グラビティラックは用途・荷重に応じてオーダーメイド設計されることが多く、メーカー・販売代理店を通じて仕様確認を行うのが一般的です。
小型ケース用ラックは通販でも入手可能です。
参考購入リンク
Q&A
Q. グラビティラックとパレットラックの違いは?
A. パレットラックは固定棚構造でフォークリフトによる入出庫を行うのに対し、グラビティラックは傾斜とローラーを用いて自動的に荷物が前進する構造です。FIFO管理や省スペース化に優れます。
Q. 電源は必要ですか?
A. 基本的に不要です。重力を利用して荷物が自然に流れるため、省エネ運用が可能です。
Q. メンテナンスはどのように行いますか?
A. 定期的なローラー清掃・潤滑と、ストッパーやレール傾斜角の点検を行います。重荷重用途では年1回程度の点検が推奨されます。