
エンコーダ(Encoder)は、モーターや軸の回転量・位置・速度を電気信号に変換して検出する装置です。
モーター制御や位置決め装置、ロボット、工作機械などで使用され、サーボモーターの精密制御に欠かせません。
この記事では、エンコーダの仕組み・種類・用途・代表メーカーをわかりやすく解説します。
エンコーダとは?(基礎知識)
エンコーダは、軸の回転や位置を検出してデジタル信号として出力する位置検出センサーです。
モーター軸や機械軸に取り付けられ、回転角度や回転数を高精度に検出します。
制御装置(サーボドライバ・PLCなど)は、この信号を基に速度・位置・トルクを制御します。
仕組みと構造
エンコーダは主に以下の構成で動作します。
- スケール/ディスク:目盛りやスリットが刻まれた回転板。
- 検出部:光学式や磁気式センサーで回転を検出。
- 回路部:検出信号をパルスやアナログ信号に変換して出力。
- シャフト:モーターや機械軸に接続する部分。
動作原理
代表的な光学式エンコーダでは、スリットの入った回転ディスクに光を照射し、透過光や反射光をセンサーで検出します。
回転ごとに一定間隔のパルス信号(A相・B相など)を出力し、これをカウントすることで回転角度や方向を判定します。
アブソリュートタイプでは、位置情報を絶対値として出力するため、電源を切っても原点情報を保持できます。
特徴
- 非接触で高精度な回転検出が可能。
- 角度・回転数・方向を同時に検出できる。
- 位置決め制御や速度制御に必須。
- サーボ・ロボット・搬送装置などに広く使用。
- 種類により分解能(精度)や出力信号が異なる。
エンコーダの種類
- インクリメンタルエンコーダ:回転ごとにパルス信号を出力し、パルス数をカウントして位置を検出。一般的で安価。
- アブソリュートエンコーダ:ディスク上に固有コードを持ち、電源OFF後も位置情報を保持。サーボ・ロボットに使用。
- 光学式エンコーダ:スリットを光で読み取る高精度方式。一般産業機器に多い。
- 磁気式エンコーダ:磁極を検出。粉塵・油・水に強く、屋外や悪環境向け。
- リニアエンコーダ:直線位置を検出。工作機械・測定機に使用。
用途
- サーボモーター・ステッピングモーターの位置検出
- 工作機械・ロボット・FA機器の制御
- 搬送装置・コンベヤの速度フィードバック
- 印刷・包装・計測装置の同期制御
- 風車・モーターテストベンチなどの回転計測
選定のポイント
- 検出方式(光学式/磁気式)
- 分解能(パルス数またはビット数)
- 出力形式(A/B相、ラインドライバ、オープンコレクタなど)
- 軸径・取り付け形状(中空・実軸など)
- 使用環境(温度・防塵・防水・振動)
主なメーカーと特徴
オムロン株式会社
光学式・磁気式エンコーダの国内大手。FA機器やサーボシステムに多数採用。
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多摩川精機株式会社
高精度エンコーダの老舗メーカー。アブソリュート型や航空機用など幅広く展開。
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ニデック(NIDEC)株式会社
モーターと一体構造のエンコーダを多数ラインアップ。産業用モーター制御で実績多数。
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山洋電気株式会社(SANYO DENKI)
高分解能・耐環境型のエンコーダを開発。サーボモーターとドライバも自社開発。
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メーカー比較表
メーカー | 主力製品 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|---|
オムロン | E6・E6Cシリーズ | 汎用・高信頼性 | FA機器・搬送装置 |
多摩川精機 | Tシリーズ | 高精度アブソリュート | ロボット・NC装置 |
ニデック | モーター一体型 | 高トルク制御対応 | 産業用モーター |
山洋電気 | 高分解能モデル | 耐環境性・信号安定 | サーボ・機械装置 |
購入先・通販サイト
Q&A
Q. インクリメンタルとアブソリュートの違いは?
A. インクリメンタルはパルス数で回転量を検出、電源を切ると原点が失われます。
アブソリュートは各位置に固有コードがあり、電源OFFでも位置情報を保持できます。
Q. サーボモーターにはどのタイプが使われますか?
A. 高分解能のアブソリュートエンコーダが主流です。
フィードバック信号としてサーボドライバに接続され、位置決め精度を確保します。
Q. 屋外環境で使う場合の注意点は?
A. 防水・防塵構造(IP65以上)や磁気式タイプを選定すると安心です。
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