
ブレーキユニット(モーターブレーキ)は、モーターの停止時や停電時に軸を確実に制動・保持するための装置です。
搬送装置、昇降機、クレーン、ロボット、工作機械など、安全性と位置保持が求められる設備に欠かせません。
この記事では、ブレーキユニットの仕組み・種類・用途・代表メーカーをわかりやすく解説します。
ブレーキユニット(モーターブレーキ)とは?(基礎知識)
モーターブレーキは、モーターの軸に取り付けられた制動装置で、モーター停止時や非常時に回転軸を固定して安全を確保する保持・制動機構です。
電源を切ると自動的にブレーキが作動し、負荷を保持する「フェイルセーフ構造(電磁ブレーキ)」が一般的です。
仕組みと構造
一般的な電磁ブレーキの構成は以下の通りです。
- 電磁コイル:通電時に磁力を発生させ、ブレーキを解除。
- アーマチュア(可動鉄板):磁力で引き寄せられてブレーキを開放する部品。
- ブレーキライニング:摩擦材で構成され、ブレーキ盤を押さえて制動する。
- スプリング:通電が切れた際に機械的にブレーキを作動させる。
モーター停止時や停電時には通電が止まり、スプリングの力で摩擦板が押し付けられ、回転軸を固定します。
特徴
- 停電時でも自動的に制動できるフェイルセーフ設計。
- コンパクトでモーターと一体化できる。
- 摩擦材の交換や調整が容易。
- 保持力・制動トルクが選択可能。
- 騒音・摩耗の少ない静音モデルも存在。
ブレーキユニットの種類
- 電磁ブレーキ(スプリング式):最も一般的なタイプ。通電で解除し、無通電で制動。
- 電動ブレーキ:電流を制御して制動力を調整。モーター制御と連動可能。
- DCブレーキ:交流モーターの停止時に直流を印加して制動トルクを発生。
- 油圧/空圧ブレーキ:大型機械や高トルク用途。油圧・空圧で制動力を制御。
- ブレーキ付きモーター:モーターと一体化した設計。設備設置スペースを削減。
用途
- 昇降機・クレーン・ホイストの安全制動
- 搬送装置・コンベヤラインの停止保持
- ロボットアームや位置決め機構の保持
- CNC工作機械の軸ブレーキ
- 風力・ポンプ・ファンなど慣性負荷の制動
選定のポイント
- 必要な制動トルク・保持トルク
- 使用環境(温度・湿度・防塵・防水)
- 電源仕様(AC/DC、電圧)
- ブレーキの取り付け位置(モーター軸端・減速機側)
- メンテナンス性と交換部品の入手性
主なメーカーと特徴
三木プーリ株式会社(MIKI PULLEY)
電磁クラッチ・ブレーキの大手メーカー。高信頼な「BXWシリーズ」などを展開。
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ツバキモト精工株式会社(椿本チエイン)
高トルク・長寿命のブレーキユニットを開発。減速機・駆動装置との一体提案が強み。
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オリエンタルモーター株式会社
小型モーター一体型ブレーキを多数展開。FA装置・搬送機器向けに実績多数。
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三菱電機株式会社
ブレーキ付きモーターを標準化。インバータ制御との親和性が高い。
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メーカー比較表
メーカー | 主力製品 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|---|
三木プーリ | BXWシリーズ | 汎用・高信頼性 | FA・搬送装置 |
椿本チエイン | 高トルクブレーキ | 長寿命・耐久性 | クレーン・昇降機 |
オリエンタルモーター | ブレーキ付モーター | 小型・省スペース | FA機器・制御装置 |
三菱電機 | FB・MBシリーズ | 制御連動・高互換 | 産業機械・設備 |
購入先・通販サイト
Q&A
Q. ブレーキ付きモーターと外付けブレーキユニットの違いは?
A. ブレーキ付きモーターは構造が一体化しておりコンパクトですが、ブレーキ仕様の変更が難しいです。
外付けタイプは制動トルクや保守性を重視する場合に選ばれます。
Q. 停電時にもブレーキは効きますか?
A. はい。電磁スプリング式は無通電状態で自動的にブレーキが作動する「フェイルセーフ構造」です。
Q. ブレーキの寿命はどれくらいですか?
A. 通常は50〜200万回の制動回数が目安です。使用環境や頻度によって交換周期が変わります。
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