
水中ポンプ(Submersible Pump)は、水中に沈めて使用するポンプで、モーターとポンプが一体化した構造を持ちます。
地上から水を吸い上げるタイプと異なり、吸込損失が少なく高効率で排水・給水が可能です。
この記事では、水中ポンプの構造・種類・用途・代表メーカーをわかりやすく解説します。
水中ポンプとは?(基礎知識)
水中ポンプは、モーターとポンプを一体化し、水中で動作する電動ポンプです。
防水構造になっており、水槽・ピット・井戸・池・河川などに沈めて使用します。
水中で直接吸入・吐出を行うため、呼び水が不要で高効率・省スペース・静音という特徴があります。
構造と仕組み
基本構成は以下の通りです。
- モーター部:密閉された防水構造。水圧や浸水に耐える特殊シールを採用。
- ポンプ部:インペラ(羽根車)で水を押し出す。渦巻型や軸流型など用途により構造が異なる。
- ケーシング:モーターとポンプを覆う筐体。腐食防止にステンレスや樹脂を使用。
- ケーブル:防水処理された電源ケーブルで、地上から電力を供給。
- シャフトシール:モーター内部への水侵入を防ぐメカニカルシール。
作動原理
水中に沈めた状態でモーターを駆動すると、羽根車(インペラ)が回転して水を吐出口へ押し出します。
吸込口は常に水中にあるため、空気噛みが発生せず、連続的な送水が可能です。
特徴
- 呼び水が不要で自吸性が高い。
- 静音・低振動で設置場所を選ばない。
- 高効率で排水・給水が容易。
- 防水・耐久性に優れ、屋外使用も可能。
- メンテナンスは比較的容易(点検・ケーブル交換など)。
水中ポンプの種類
- 汚水・排水用ポンプ:泥水・スラリー・固形物を含む液体を排出。建設現場や工場排水に使用。
- 清水用ポンプ:給水・循環・井戸汲み上げなど一般用途。
- 井戸ポンプ(深井戸用):高揚程対応。地下水や農業用水の汲み上げに使用。
- 水中渦巻ポンプ:羽根車の遠心力で送水。大流量・中低圧向け。
- 水中軸流ポンプ:大流量・低揚程の排水向け。河川・排水機場などに使用。
- 自動運転型(水位センサー内蔵):水位に応じて自動起動・停止するタイプ。
用途
- 建設現場・工場の排水処理
- 地下ピット・マンホール・雨水槽
- 井戸水・地下水の汲み上げ
- 農業用水・灌漑設備
- ビル・住宅・設備の給排水システム
選定のポイント
- 使用液体(清水/汚水/スラリーなど)
- 流量・揚程・設置深さ
- 電源仕様(単相100V・三相200Vなど)
- ケーシング材質(SUS・鋳鉄・樹脂)
- 自動運転・ドライ運転防止機能の有無
主なメーカーと特徴
鶴見製作所(TSURUMI)
水中ポンプの国内トップメーカー。建設現場・工場・公共施設向けに豊富な実績。
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川本製作所(KAWAMOTO)
清水・汚水・井戸ポンプの総合メーカー。家庭用から産業用まで幅広く対応。
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テラル株式会社(TERAL)
ビル設備・空調用途に強み。自動運転型・小型モデルもラインアップ。
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荏原製作所(EBARA)
産業用・大型排水ポンプで高シェア。高効率・長寿命モデルを展開。
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メーカー比較表
メーカー | 主力製品 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|---|
鶴見製作所 | 汚水・排水用 | 高耐久・防水構造 | 建設現場・工場排水 |
川本製作所 | 清水・井戸ポンプ | 家庭用〜業務用対応 | 給水・農業用 |
テラル | 自動運転型 | コンパクト・省エネ | ビル・設備給排水 |
荏原製作所 | 大型水中ポンプ | 高効率・長寿命 | 公共・産業設備 |
購入先・通販サイト
Q&A
Q. 水中ポンプと渦巻ポンプの違いは?
A. 渦巻ポンプは地上設置型で吸込管から水を引き上げますが、水中ポンプは水中で直接吸込・吐出を行うため呼び水が不要です。
Q. ドライ運転しても大丈夫?
A. 不可です。水が潤滑と冷却を兼ねるため、空運転はモーター焼損の原因になります。
Q. メンテナンスの頻度は?
A. 使用頻度にもよりますが、メカニカルシールやケーブル部の点検を半年〜1年ごとに行うと安心です。
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