
工場や作業現場では、作業者が安全かつ快適に働ける環境を維持するため、定期的に作業環境測定を実施することが義務付けられています。
本記事では、作業環境測定の目的・測定項目・基準値・換気管理の方法、主要メーカーをわかりやすく解説します。
作業環境測定とは
作業環境測定とは、労働者が曝露される有害要因(粉じん・ガス・有機溶剤・騒音など)を定期的に測定し、健康障害を防止するための環境管理を行う制度です。
目的
- 労働者の健康被害防止(呼吸器疾患・聴力障害など)
- 作業環境の適正管理とリスク評価
- 法令(労働安全衛生法)への適合
実施頻度
原則として6か月以内ごとに1回の定期測定が必要です。
結果は記録・保存し、労働基準監督署への報告が求められます。
主な測定項目
区分 | 対象物質・要因 | 測定方法 |
---|---|---|
粉じん | 切削・研磨・粉体取扱い作業 | ダストサンプラーによる浮遊粉じん濃度測定 |
有機溶剤 | 塗装・洗浄作業など | ガス検知管・吸引ポンプ法 |
特定化学物質 | 鉛・六価クロム・ベンゼンなど | 吸着管・活性炭管を用いたサンプリング |
騒音 | 工作機械・プレス・コンプレッサなど | 騒音計によるdB(A)測定 |
照度 | 検査・組立作業 | 照度計による照度測定(lx) |
温度・湿度 | 熱中症対策・空調管理 | 温湿度計・WBGT計による測定 |
法令・基準
- 労働安全衛生法 第65条: 作業環境測定の実施義務
- 作業環境測定基準(厚生労働省令第46号): 測定方法・評価区分を定義
- 作業環境測定士制度: 測定は有資格者(第1種または第2種)が実施
- 評価区分: 管理濃度に基づき第1〜第3管理区分に分類
換気管理の重要性
測定結果が基準を超えた場合は、局所排気装置や全体換気装置による改善が必要です。
- 局所排気装置: 発生源近傍で汚染空気を吸引・排出(例:フード・ダクト・ブロワ)
- 全体換気: 室全体の空気を入れ替え、濃度を希釈
- 風量管理: フード面風速0.4〜0.7m/s程度を維持
- 点検・清掃: フィルター・ダクト内の定期メンテナンスを実施
主要メーカーと特徴
柴田科学(SHIBATA)
粉じん計・ガス検知器・有機溶剤測定機器の国内トップメーカー。作業環境測定用器具の定番。
リオン(RION)
騒音計・振動計・粉じん計などの環境測定器を製造。信頼性が高く、校正サービスも充実。
共立電気計器(KYORITSU)
騒音計や温湿度計を多数展開。持ち運びしやすい小型モデルが人気。
新コスモス電機(COSMOS)
ガス検知器の専門メーカー。現場常設型から携帯型まで幅広く対応。
日本カノマックス(KANOMAX)
風速計・環境計測機器に強み。局所排気装置の風量測定にも使用される。
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Q&A
Q. 測定は誰が行う必要がありますか?
A. 厚生労働省登録の「作業環境測定士(第1種または第2種)」が実施する必要があります。
Q. 測定結果が悪い場合の対応は?
A. 換気強化、設備改善、作業方法の見直しなどを行い、再測定で改善を確認します。
Q. 換気装置はどのくらいの頻度で点検すべきですか?
A. 少なくとも年1回の性能測定を行い、フィルター・風量の劣化がないか確認することが推奨されています。