運動シールをパッキン、固定シールをガスケットと呼びますが、パッキンにはどのような種類があるのかご存知でしょうか?
パッキンの中にも回転用のパッキンがあれば、往復運動用のパッキンもあります。
このページでは、パッキンの種類について、細かく分類してそれぞれのパッキンについて詳しく解説します。
※ガスケットとパッキンの違いは「ガスケットとパッキンの違い。ガスケットとは、パッキンとは」を参考にしてください。
パッキンの分類
パッキンの種類を解説する前に、パッキンをそれぞれ用途によって分類します。
上記の図のようにパッキンは、まず回転用と往復運動用の2つに分類されます。
また、回転運動用には接触型シールと非接触型シール、往復運動用にはリップパッキンとスクィーズパッキンに分けられます。
回転運動用シール
回転運動用に用いられるシール・パッキンです。主な用途は、回転シャフト・軸やベアリング部分、ポンプの回転部分に使用されます。
回転運動用シールの中には、オイルシールやメカニカルシールのような軸や内輪・外輪と直接接触する接触型シールと、ラビリンスシールのように摩擦を少なくした非接触型シールがあります。
接触型シール
接触型シールは、密閉性が高いため、油やグリスの漏れが少なく、外部からのほこり等の異物が入りにくいシールです。
接触しているための長所がある反面、回転時に摩擦が生じるため、回転トルクが重くなることや摺動音が発生してしまう短所もあります。
オイルシールやメカニカルシール、グランドパッキンなどが接触型シールの代表例となります。
オイルシール
オイルシールとは、その名の通り、油の漏れ防止に特化した接触型シールです。
コの字のような断面をしたリングで、リップの先端をバネの力で軸側に押し付けることでシールします。
主にエンジンやモーターなど、回転軸とそのまわりとの隙間をシールするために使用されます。
油漏れの防止の他に、外部からのほこりや粉じんなど、防塵の役割も果たします。
メカニカルシール
メカニカルシールとは、圧力容器を貫通する回転軸から流体の漏れを防止するための接触型シールです。
圧力容器内に固定された固定環へ軸側に固定された回転環をバネの力によって押し付けることでシールします。
主にポンプやコンプレッサー、撹拌機など、高圧力・高速回転する機械に使用されます。
グランドパッキン
グランドパッキンとは、メカニカルシールと同じように回転軸から流体の漏れを防止するための接触型シールです。
特殊な繊維に潤滑油を染み込ませた断面が丸型や角型の紐状の接触型シールで、軸のまわりに詰め込み隙間を埋めることでシールします。
主にポンプやバルブなどに使用されます。
非接触型シール
非接触型シールは、非接触のため、シール面による摩擦が生じないため、回転トルクが小さいシールです。
非接触であるための長所がある反面、油やグリスが漏れやすく、外部からの防塵性も接触型に比べて落ちる短所もあります。
ラビリンスシールや磁性流体シールが非接触型シールの代表例となります。
ラビリンスシール
ラビリンスシールとは、凸凹など複雑な形状にすることで抵抗を増やし、非接触ながら漏れを防止するシールです。
摩擦が生じないため、ベアリングや歯車など、抵抗を嫌う部品に使用されています。
磁性流体シール
磁性流体シールとは、磁性流体の膜によって漏れを防止するシールで、摩擦がないため、完全に密封することができます。
密閉性が高い反面、液体のシールや往復運動に向かないといった短所があります。
クリーンルームで使用する機械やロボットをはじめ、真空装置などの部品に使用されています。
往復運動用シール
往復運動用に用いられるシール・パッキンです。主な用途は、シリンダーのピストン軸のような往復運動を行う機械部品です。
往復運動用シールの中には、Oリングに代表されるスクィーズパッキンをはじめ、UパッキンやVパッキンに代表されるようなリップパッキンがあります。
リップパッキン
リップパッキンとは、その他の通り、シール部分の形がリップ(唇)形状になったパッキンの総称です。
油や空気、水など、流体に圧力がかかる時、リップの先端部分に流体以上の圧力がかかり摺動面に密着する、セルフシール作用によって、流体の漏れを防止します。
リップパッキンの種類には、Uパッキンをはじめ、Vパッキン、Lパッキン、Jパッキンなどがあります。
Uパッキン
Uパッキンとは、断面がU字形のリップパッキンです。
リップパッキンの中でも最も多く使用されており、油圧シリンダーやエアーシリンダーなどのロッドやピストン部分に用いられています。
Vパッキン
Vパッキンとは、断面がV字形のリップパッキンです。
Uパッキンが単体で使用されるのに対して、Vパッキンは、オスとメスのアダプターで挟んで使用されます。
Lパッキン
Lパッキンとは、断面がL字形のリップパッキンです。
以前は、よく使用されていましたが、現在では、Uパッキンに置き換わっており、使用箇所が少なくなっています。
スクイーズパッキン
スクイーズパッキンとは、その名の通り、ゴム状の弾性体を相手側に押し付けて密着させることでシールするパッキンの総称です。
スクイーズパッキンの種類には、Oリングをはじめ、XリングやDリングなどがあります。
Oリング
Oリングとは、断面が丸型でリング状に成型されたスクイーズパッキンです。
いろいろな種類の機械や部品に使用されており、規格もP規格、G規格、V規格など、用途や太さ、大きさによって規格化されています。
パッキンは運動用シールの総称となりますが、Oリングは固定用としても使用されるため、パッキンでありながらガスケットの一種でもあります。
Xリング
Xリングとは、断面がX型でリング状に成型されたスクイーズパッキンです。
先端の4カ所がそれぞれリップの機能を持っているため、シール性に優れています。
Oリングと比べ、ねじれ難い特長や、リップ間で潤滑剤を保持できる特徴があります。
Dリング
Dリングとは、断面がD型でリング状に成型されたスクイーズパッキンです。
Oリングと比べ、ねじれ難い特長や、つぶししろが小さくて済む特長があります。
バックアップリングを使用することで、高圧での使用も可能です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。パッキンには、用途に合わせてたくさんの種類があり、形や構造も様々です。
機械や部品の設計の際には、より適したパッキンを見つけていただけると嬉しいです。
※ガスケットとの違いについては「ガスケットとパッキンの違い」を参考にしてください。
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