リニアガイドは、直線運動を高精度・低摩擦で実現するための直動案内機構です。
レール(ガイド)とブロック(滑り台車)が組み合わさり、鋼球やローラを介して滑らかな直線動作を実現します。
工作機械、FA装置、半導体・検査装置、搬送ステージなど幅広い分野で用いられ、高い剛性と精度、長寿命が求められます。
リニアガイドとは(基礎知識)
レール上をブロックが転がり接触で移動する「転がり案内」が主流で、摺動案内に比べて摩擦が小さく、発熱・摩耗が少ないのが特長です。
予圧やシール、潤滑ユニットを適切に選定することで、繰り返し位置決め精度や寿命を最適化できます。
リニアガイドの種類
- ボールタイプ:鋼球で転動。低摩擦・高速で一般用途に広く使用。
- ローラタイプ:円筒ローラで転動。高剛性・高荷重、工作機械主軸台・コラムなどに。
- ミニチュアタイプ:小型・薄型設計。搬送ステージ、検査・医療機器に適する。
- 防塵・耐食タイプ:ステンレス、ニッケルメッキ、シール強化、ベローズ併用など環境対応。
- 幅広・低背タイプ:コンパクト機構や横荷重方向に有利な形状最適化タイプ。
主な用途
- 工作機械(マシニングセンタ、旋盤、研削盤)の各軸案内
- FAロボット・自動化装置の直線ステージ
- 精密搬送・検査・測定装置の位置決め機構
- 半導体製造・液晶装置のクリーン環境搬送
- 医療・分析機器の小型直動ガイド
構造と特徴
- 基本構成:レール、ブロック(ボディ、リテーナ、エンドキャップ)、転動体(ボール/ローラ)、シール、潤滑ユニット。
- 精度・剛性:予圧量と精度等級で位置決め能力が決まる。高剛性用途はローラ型や高予圧を選定。
- 潤滑:グリース封入、オイルミスト、長寿命潤滑ユニット(リチウム系・フッ素系)を用途で選択。
- 取付面:基準面の平面度・直角度、ボルト締結の順序・トルク管理が性能に直結。
- 環境対応:粉塵・切粉はシール強化+ベローズ/カバー。腐食環境はSUS材や表面処理を選ぶ。
主なメーカー一覧
- THK株式会社:リニアガイドのパイオニア。幅広いシリーズと長寿命潤滑ユニットを展開。
公式サイトはこちら - 日本精工(NSK):ボール・ローラ直動案内を総合展開。工作機械向け実績が豊富。
公式サイトはこちら - 日本トムソン(IKO):ニードル・ローラ案内、ミニチュア直動部品に強み。
公式サイトはこちら - NTN株式会社:高剛性直動ガイド、耐環境仕様をラインアップ。
公式サイトはこちら - HIWIN:コスト・納期バランスに優れるグローバルメーカー。
公式サイトはこちら - ミスミグループ本社:標準サイズのEC供給、カット長・端面加工の即納対応。
公式サイトはこちら
メーカー比較表
メーカー | 主力タイプ | 強み | 想定用途 |
---|---|---|---|
THK | ボール/ローラ | 製品幅広・長寿命潤滑 | FA~工作機械全般 |
NSK | ボール/ローラ | 高精度・静粛性 | 精密位置決め、主軸台 |
IKO | ローラ/ミニチュア | 小型・高剛性・多バリエ | 検査・医療、搬送 |
NTN | ボール/ローラ | 耐環境・剛性バランス | 工作機械・一般FA |
HIWIN | ボール中心 | コスト・納期良好 | 量産装置・汎用FA |
ミスミ | 標準EC品 | 短納期・加工一括 | 試作~量産立上げ |
リニアガイドの購入先・販売サイト
Q&A(よくある質問)
Q. 予圧はどう選べばよい?
A. 高剛性・高精度が必要なら高めの予圧、低摩擦・高速なら軽予圧を選びます。熱変位や組立精度も考慮し、メーカー推奨を参照してください。
Q. 粉塵や切粉が多い環境での対策は?
A. 強化シール、スクレーパ、ベローズカバー、正圧エアパージ、潤滑強化を併用。ステンレス材や表面処理も有効です。
Q. レール継ぎ目で段差が出る。
A. 基準面の加工精度・ボルト締付順序を見直し、流通品の接続精度保証タイプやピン打ち位置決めを検討してください。