タイミングプーリー・タイミングベルトは、歯付きベルトとプーリーの噛み合いによって動力を正確に伝達する機械要素です。
すべりのない同期伝達が可能で、チェーンやギアに比べて軽量・静音・メンテナンス性に優れています。
FA機器・工作機械・自動搬送装置・ロボットなど、正確な回転同期が求められる場面で広く使用されています。
タイミングプーリー・タイミングベルトとは(基礎知識)
タイミングベルトは、ゴムやウレタンなどの弾性体に歯形を加工したベルトで、タイミングプーリー(歯付きプーリー)と噛み合って動力を伝えます。歯のピッチ精度が高く、モーター回転を滑りなく正確に同期伝達できることが特徴です。
金属チェーンに比べて軽量・静粛で、高速運転やクリーン環境にも適しています。
タイミングベルト・プーリーの種類
- クラシック形(MXL・XL・L・H・XH・XXH): インチピッチ規格。米国ANSI準拠。
- メートルピッチ形(T2.5・T5・T10・AT5・AT10など): 欧州DIN規格。汎用性が高い。
- HTD形(3M・5M・8M・14M): ハイ・トルク・ドライブ。丸歯形状で高トルク対応。
- STS形(S3M・S5M・S8M・S14M): 日本発祥の高精度歯形。騒音・バックラッシを低減。
- ウレタンベルト: 耐摩耗性・耐薬品性に優れ、溶着や接続加工が容易。
- ゴムベルト: 柔軟性があり、衝撃吸収に優れる。幅広い用途に対応。
- ステンレス・アルミプーリー: 軽量・耐食でクリーンルームや食品装置に使用。
- スチールプーリー: 高剛性・高トルク用途向け。長寿命で摩耗に強い。
主な用途
- 工作機械・搬送装置の駆動軸
- 3Dプリンタ・小型ロボットの同期伝達
- FA装置・検査ステージのタイミング駆動
- 包装機・印刷機の回転同期
- 自動車エンジン(カム駆動用)
構造と特徴
- 高精度同期:歯付きベルトのため、すべりなしで正確な位相伝達が可能。
- 静音運転:チェーンに比べて低騒音で、潤滑不要。
- 軽量化:金属要素より軽く、回転部の慣性モーメントを低減。
- メンテナンスフリー:グリースやオイル不要で、クリーン環境に最適。
- 材質選定:ゴムベルトはコスト重視、ウレタンベルトは耐久・クリーン重視。
- プーリー精度:バックラッシやピッチ精度が動作安定性に直結。
主なメーカー一覧
- 三ツ星ベルト株式会社(MITSUBOSHI):国内トップメーカー。ゴム・ウレタン両材質をラインアップ。
公式サイトはこちら - バンドー化学株式会社(BANDO):ゴム製ベルトの老舗。STSシリーズを共同開発。
公式サイトはこちら - ゲイツ・ユニッタ・アジア株式会社(GATES UNITTA):グローバル展開メーカー。HTD・GTシリーズで高トルク伝達を実現。
公式サイトはこちら - ニッタ株式会社(NITTA):ウレタンタイミングベルト、食品・クリーン対応製品に強み。
公式サイトはこちら - ハバジット日本株式会社(HABASIT):樹脂・ウレタン製ベルトで世界的シェア。
公式サイトはこちら - KANA(片山チエン株式会社):タイミングプーリー専門ライン。アルミ・スチール材対応。
公式サイトはこちら - 鍋屋バイテック会社(NBK):高精度プーリー、カップリングとの一体提案。
公式サイトはこちら - ミスミグループ本社:タイミングプーリー・ベルトをEC短納期供給。標準規格・加工対応も。
公式サイトはこちら
メーカー比較表
メーカー | 主力製品 | 強み | 想定用途 |
---|---|---|---|
三ツ星ベルト | ゴム・ウレタンベルト | 国内トップシェア・信頼性 | FA・一般産業機械 |
バンドー化学 | STS・HTDシリーズ | 静音・高トルク対応 | 搬送・制御駆動 |
ゲイツ・ユニッタ | GT・HTDシリーズ | 高精度・高トルク | 工作機械・ロボット |
ニッタ | ウレタンベルト | クリーン・食品対応 | 食品・検査装置 |
ハバジット | 樹脂・ウレタンベルト | 世界的シェア・耐久性 | FA・搬送装置 |
KANA | タイミングプーリー | 加工精度・材質バリエーション | 産業機械・FA |
NBK | 高精度プーリー・結合具 | 精密伝達・一体設計 | 自動機・精密装置 |
ミスミ | 標準規格・短納期 | EC供給・加工対応 | 試作~量産装置 |
購入先・販売サイト
Q&A(よくある質問)
Q. HTDとSTSの違いは?
A. HTDは丸歯形で高トルク対応、STSは日本発の改良歯形でバックラッシが少なく静音性に優れます。FA用途ではSTSが主流です。
Q. ベルトがすぐ摩耗する原因は?
A. プーリーの芯ズレや張力不足、過剰張力、異物混入が主な原因です。プーリー間距離やベルト幅を再確認しましょう。
Q. クリーン環境で使用する場合の注意点は?
A. ウレタン製やステンレスプーリーを選び、潤滑剤を使用しないドライ運転を推奨します。帯電防止タイプも有効です。