
ポンプは、液体を移動・圧送するための回転機器であり、工場設備・プラント・ビル設備など、あらゆる産業で欠かせない存在です。
この記事では、ポンプの基本構造や種類、用途、代表的なメーカーについて詳しく解説します。
ポンプとは?(基礎知識)
ポンプ(Pump)は、液体を吸い上げて圧力をかけ、他の場所へ送る機械装置です。
動力源には主にモーターが使われ、回転運動を流体の運動エネルギーや圧力エネルギーに変換します。
用途に応じて、給水、循環、排水、薬液供給、油圧など、さまざまなタイプがあります。
ポンプの種類
ポンプは作動原理によって大きく「容積式ポンプ」と「ターボ型ポンプ(動力式)」に分けられます。
1. 容積式ポンプ
液体を一定量ずつ閉じ込め、押し出すタイプ。高圧送液に適しています。
- ギアポンプ:歯車のかみ合わせで液体を送り出す。油圧装置や潤滑用に使用。
- ピストンポンプ:ピストンの往復動で圧送。高圧・定量供給に向く。
- ダイヤフラムポンプ:膜を変形させて送液。薬液や化学薬品用に多い。
- スクリューポンプ:ねじ状の回転で液体を送る。粘性液・スラリーに適す。
2. ターボ型ポンプ(動力式)
羽根車(インペラ)の回転によって液体を加速させ、遠心力で圧送する方式。
- 遠心ポンプ:最も一般的なポンプ。水や冷却液の移送に多用。
- 軸流ポンプ:大流量・低揚程に適し、冷却水循環などに使用。
- 斜流ポンプ:遠心と軸流の中間型で、多用途に対応。
ポンプの構造と仕組み
代表的な「遠心ポンプ」を例に構造を見てみましょう。
- インペラ:回転により液体に遠心力を与える主要部品。
- ケーシング:液体を導き、圧力エネルギーに変換する外殻。
- シャフト:モーターと接続し、インペラを回転させる軸。
- メカニカルシール:回転軸のすき間から液体が漏れないようにする密封部品。
- ベアリング:シャフトを支持し、回転を安定させる。
ポンプの用途
ポンプは産業から生活まで幅広く利用されています。
- 工場の冷却水・循環ライン
- 薬液・油・燃料の移送
- 上下水道・排水処理施設
- ビル・住宅の給水・空調
- 食品・化学・医薬品の生産ライン
主なメーカーと特徴
株式会社荏原製作所(EBARA)
国内トップクラスのポンプメーカー。遠心ポンプや排水ポンプなど幅広いラインナップ。
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株式会社タクミナ
定量ポンプ・ダイヤフラムポンプに強み。薬液・化学薬品用途に特化。
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株式会社鶴見製作所(ツルミポンプ)
排水ポンプ・汚水ポンプで国内シェア上位。建設現場や工場排水で多く採用。
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株式会社日立産機システム
大型産業用ポンプや省エネ対応モデルを展開。メンテナンス性にも優れる。
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メーカー比較表
メーカー | 主力製品 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|---|
荏原製作所 | 遠心ポンプ・ラインポンプ | 国内最大手・信頼性高 | 上下水道・プラント設備 |
タクミナ | 定量・ダイヤフラムポンプ | 高精度送液・薬液対応 | 化学・食品・医薬 |
鶴見製作所 | 汚水・排水ポンプ | 耐久性・防水性に優れる | 建設・排水・農業 |
日立産機システム | 大型ポンプ | 省エネ・高効率モデル | プラント・重工業 |
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Q&A
Q. ポンプの寿命はどのくらいですか?
A. 使用環境や運転時間により異なりますが、一般的には5〜10年程度です。
定期的なメカニカルシール交換と軸受点検で寿命を延ばすことができます。
Q. ポンプが空運転するとどうなりますか?
A. 液体がない状態で回すと、潤滑不良により焼き付きやシール損傷を起こすため、必ず液体を充填して運転する必要があります。
Q. メカニカルシールの役割は?
A. 回転軸のすき間から液体が漏れないようにする部品で、ポンプの信頼性を左右する重要パーツです。
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