ルーツブロワとは?構造・種類・用途・メーカーをわかりやすく解説

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ルーツブロワ(Roots Blower)は、2枚または3枚のローターを回転させて空気を圧送する容積式送風機です。

一定量の空気を連続的に送り出せるため、下水処理や燃焼空気供給、エアレーションなどで幅広く使われています。

この記事では、ルーツブロワの仕組み・種類・用途・代表メーカーをわかりやすく紹介します。




ルーツブロワとは?(基礎知識)

ルーツブロワは、容積式(正容積式)送風機の一種で、回転する2枚または3枚のローターによって空気を送り出す仕組みを持ちます。

圧縮はほとんど行わず、一定の容積の空気を連続的に搬送するため、吐出量が安定しているのが特徴です。

構造と仕組み

ルーツブロワの基本構造は以下の通りです。

  • ローター:8字型や3葉型の羽根が回転して空気を送出。
  • ケーシング:ローターを収め、吸込口・吐出口を形成。
  • タイミングギア:2本のローターの位相を正確に同期。
  • 軸受・オイルシール:回転軸の支持と潤滑油の密封。
  • モーター・減速機:動力源として外付けモーターを使用。

ルーツブロワの特徴

  • 吐出風量が一定(回転数に比例)。
  • 空気の圧縮は外部(負荷側)で行われるため、脈動が少ない。
  • シンプル構造で耐久性が高く、メンテナンスが容易。
  • 低圧〜中圧域で高効率。
  • オイルレス仕様も選定可能。

ルーツブロワの種類

  • 2枚羽根タイプ:構造が簡単で一般的。低速・低圧向き。
  • 3枚羽根タイプ:振動・騒音が少なく、産業用途に最も多い。
  • 水冷式:高温空気や高圧運転に対応。
  • 防音型(サイレンサ付):低騒音設計。屋内設置にも適する。

用途

  • 下水処理場のエアレーション(曝気)
  • 燃焼用空気供給(ボイラー・焼却炉)
  • 粉体輸送・集塵装置
  • 真空吸引(逆転使用)
  • 水槽・養殖用エア供給

選定のポイント

  • 必要風量(m³/min)と吐出圧力(kPa)
  • 吸気条件(温度・湿度・粉塵)
  • 運転時間・連続運転の可否
  • 防音・冷却・潤滑方式(空冷/水冷)
  • 設置環境(屋内/屋外・防塵・防水)

主なメーカーと特徴

株式会社イワキ

水処理・環境設備向けに多く採用。小型軽量・静音タイプが豊富。
公式サイトはこちら

アンレット株式会社(ANLET)

国内ルーツブロワ専業メーカー。低騒音・高効率設計に定評。
公式サイトはこちら

新明和工業株式会社

大型ルーツブロワで国内トップシェア。下水処理・産業排気などに強み。
公式サイトはこちら

株式会社日立産機システム

ターボ・ルーツ両方式を展開。高信頼性とメンテナンス性に優れる。
公式サイトはこちら

メーカー比較表

メーカー 主力製品 特徴 主な用途
アンレット 3枚羽根ルーツブロワ 低騒音・高効率 水処理・産業排気
イワキ 小型静音型 省スペース・簡易メンテ 養殖・小規模設備
新明和工業 大型水冷式ブロワ 高耐久・長寿命 上下水道・プラント
日立産機システム 産業用ブロワ 総合信頼性 FA・環境装置

購入先・通販サイト

Q&A

Q. ルーツブロワと遠心ブロワの違いは?

A. ルーツブロワは容積式で一定風量・低圧向き、遠心ブロワは動力式で高圧・可変風量向きです。

Q. 騒音対策はどうすればよい?

A. 吸込・吐出側にサイレンサを設置し、防音ボックス内に収めることで効果があります。

Q. メンテナンス周期は?

A. オイル交換は運転時間3,000〜5,000時間ごとが目安。定期的に軸受とシールの状態を確認しましょう。

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