
モーター制御装置(インバータ)は、電動モーターの回転数やトルクを制御する装置です。
省エネ・高効率運転を実現できるため、工場設備やポンプ・ファン・コンベヤなど、あらゆる回転機器に使用されています。
この記事では、インバータの仕組み・種類・用途・代表メーカーをわかりやすく紹介します。
モーター制御装置(インバータ)とは?(基礎知識)
インバータ(Inverter)は、入力された商用電源(AC)を一度直流(DC)に変換し、その後、再び任意の周波数・電圧の交流(AC)に変換してモーターを制御する装置です。
電源周波数を自由に変えられることで、モーターの回転速度を可変制御できます。
仕組みと動作原理
基本構成は以下の通りです。
- 整流回路:商用交流を直流に変換。
- 平滑回路:電圧を安定させ、ノイズを抑制。
- インバータ回路:パワートランジスタ(IGBT)で直流を可変周波数の交流に変換。
- 制御回路:モーターの速度・トルク・方向などを制御。
これにより、モーターの回転速度・始動トルク・加減速・回生制動などを自由に制御できます。
特徴
- 回転数を自在に制御できる(周波数制御)。
- 始動電流を抑制し、機械への負担を軽減。
- 省エネルギー化(必要回転数だけ運転)。
- 加減速制御で安定した動作。
- 逆転・停止・保護機能を内蔵。
インバータの種類
- 電圧制御型(V/f制御):一般的な制御方式。ファン・ポンプなど負荷変動が少ない用途に。
- ベクトル制御型:トルクを高精度に制御。昇降機・コンベヤなど負荷変動の大きい装置に。
- サーボインバータ:位置・速度を高精度で制御。ロボット・加工機などに使用。
- 回生インバータ:減速時のエネルギーを電源側へ戻す省エネ型。
用途
- ポンプ・ファンの回転数制御(省エネ運転)
- コンベヤ・搬送機の速度調整
- 昇降機・ウインチの駆動制御
- 加工機・旋盤などのトルク制御
- 空調機・冷却装置の出力制御
選定のポイント
- モーターの定格電圧・出力・極数
- 負荷の種類(ポンプ・ファン・搬送機など)
- 必要な制御方式(V/f・ベクトル・サーボ)
- 設置環境(防塵・防水・盤内・盤外)
- 通信機能(Modbus・Ethernet・PROFINETなど)
主なメーカーと特徴
三菱電機株式会社
FRシリーズなど多用途対応の代表的インバータメーカー。国内シェアトップクラス。
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富士電機株式会社
FRENICシリーズで有名。高効率・省エネ設計で設備用途に強み。
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安川電機株式会社
モーション制御技術に強みを持つ大手。ベクトル制御・サーボ用途にも幅広く対応。
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オムロン株式会社
小型設備や制御盤組込み向けのコンパクトモデルを展開。通信対応も豊富。
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メーカー比較表
メーカー | 主力製品 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|---|
三菱電機 | FRシリーズ | 高信頼・多用途対応 | 設備・ポンプ・搬送 |
富士電機 | FRENICシリーズ | 省エネ・操作性 | 空調・ポンプ制御 |
安川電機 | Varispeedシリーズ | 高精度ベクトル制御 | 機械・ロボット制御 |
オムロン | MX2シリーズ | 小型・通信対応 | 制御盤・FA装置 |
購入先・通販サイト
Q&A
Q. インバータを使うと電気代は下がりますか?
A. はい。モーターを必要な回転数だけ動かす「可変速運転」により、電力消費を最大30〜50%削減できることがあります。
Q. どんなモーターでも使えますか?
A. 三相誘導モーターが基本対応です。一部の単相モーター・高周波モーターは専用品が必要です。
Q. インバータの寿命はどのくらい?
A. 通常7〜10年が目安です。コンデンサや冷却ファンの劣化により性能が低下するため、定期的な点検が推奨されます。
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