ソフトスタータ(始動制御装置)とは?仕組み・種類・用途・メーカーをわかりやすく解説

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ソフトスタータ(Soft Starter)は、モーターの起動時に発生する大きな突入電流を抑制し、機械的・電気的な負荷を軽減する始動制御装置です。

ポンプ・ファン・コンプレッサ・コンベヤなどの産業設備で広く使用されています。

この記事では、ソフトスタータの仕組み・種類・用途・代表メーカーをわかりやすく解説します。




ソフトスタータとは?(基礎知識)

ソフトスタータは、三相誘導モーターの起動時に電圧を徐々に上昇させ、スムーズに回転を立ち上げるための始動制御装置です。

従来の直入れ起動(DOL)では大電流が流れ、設備や電源系統に負担をかけますが、ソフトスタータを用いることで突入電流を抑え、モーターや機械の寿命を延ばすことができます。

仕組みと構造

ソフトスタータは主に以下の構成で動作します。

  • 電力制御部:サイリスタ(SCR)によって電圧の位相を制御し、出力電圧を徐々に上昇。
  • 制御回路:起動時間・停止時間・電圧上昇特性などを設定・制御。
  • バイパス接触器:起動完了後にサイリスタをバイパスして効率運転。
  • 保護機能:過負荷・欠相・過電流などを検出して停止制御。

動作原理

起動時にモーターへ印加する電圧をサイリスタで制御し、段階的に上げていくことで電流を抑制します。

モーターが定常速度に達すると、バイパス回路が動作して電流を直接供給するため、運転中は通常の直結運転と同等の効率を維持します。

特徴

  • 起動電流を最大70%以上抑制可能。
  • 衝撃の少ないスムーズな立ち上げ。
  • 機械的負荷・ベルト・カップリングの損耗を低減。
  • インバータより構造が簡単でコストが安い。
  • 制御盤内に設置でき、メンテナンスも容易。

ソフトスタータの種類

  • 電圧制御式(一般タイプ):位相制御によって電圧を上昇させる標準的方式。最も普及している。
  • 電流制御式:モーター電流を一定に保ちながら制御するタイプ。高精度で安定した起動が可能。
  • トルク制御式:トルクを一定に制御するタイプ。ポンプ・ファンなどの負荷変動に強い。
  • デジタル制御型:マイコン搭載で設定・通信・保護機能を強化した高機能モデル。

用途

  • ポンプ・送風機・ブロワの起動制御
  • コンベヤ・ミキサー・粉砕機の始動
  • 冷却ファン・コンプレッサ・遠心機
  • 大型モーター・高出力機器の突入電流対策
  • ポンプ配管内のウォーターハンマー(圧力衝撃)防止

選定のポイント

  • モーターの定格電圧・出力・電流
  • 起動頻度・加減速時間の要求
  • 負荷特性(軽負荷/重負荷/慣性負荷)
  • 制御方式(電圧/電流/トルク制御)
  • 保護機能・通信機能の有無

主なメーカーと特徴

三菱電機株式会社

高信頼の「MS-Tシリーズ」などを展開。FAシステムとの連携性が高い。
公式サイトはこちら

富士電機株式会社

コンパクト設計の「FRENIC-Soft」シリーズを展開。ポンプ・ファン用途に最適。
公式サイトはこちら

安川電機株式会社

モーション制御と一体化した始動制御ソリューションを提供。産業用モーター用途に強み。
公式サイトはこちら

東芝産業機器システム株式会社

大容量モーター対応ソフトスタータを多数ラインアップ。信頼性・耐久性に定評。
公式サイトはこちら

メーカー比較表

メーカー 主力製品 特徴 主な用途
三菱電機 MS-Tシリーズ 高信頼・汎用性 ポンプ・ファン
富士電機 FRENIC-Soft コンパクト・省エネ 空調・送風
安川電機 高性能制御型 高精度・重負荷対応 産業設備
東芝産業機器 TOSVERT Soft 大容量・高耐久 プラント・大型モーター

購入先・通販サイト

Q&A

Q. ソフトスタータとインバータの違いは?

A. ソフトスタータは起動時のみ電圧を制御する装置で、定常運転は商用電源で行います。
一方インバータは常時周波数制御を行い、速度やトルクを自在に変化させることができます。

Q. ソフトスタータを設置するときの注意点は?

A. 放熱スペースの確保が必要です。高温環境では冷却フィンやファンの追加を推奨します。

Q. ポンプの水撃(ウォーターハンマー)にも効果がありますか?

A. はい。加速・減速を滑らかにすることで、配管内の圧力変動を抑制できます。

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