チラー(冷却循環装置)とは?仕組み・種類・用途・メーカーをわかりやすく解説

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チラー(Chiller)は、液体を冷却して循環させることで、装置や金型、工程を一定温度に保つための冷却循環装置です。

工場や研究設備では、熱交換器・ポンプ・冷媒回路を組み合わせた温度制御システムとして幅広く使用されています。

この記事では、チラーの仕組み・種類・用途・代表メーカーをわかりやすく解説します。




チラーとは?(基礎知識)

チラーは、冷媒を使って液体(主に水やオイル)を冷却し、その冷却液を循環させる装置です。

装置や金型、試験機などの温度上昇を抑え、安定した運転を実現します。

一般的には「冷却水循環装置」や「冷却機」とも呼ばれます。

冷却対象と熱交換を行うため、チラー内部には熱交換器・冷媒圧縮機・ポンプ・貯水タンク・制御ユニットが搭載されています。

仕組みと構造

チラーの基本構造は以下の要素で構成されています。

  • コンプレッサ(圧縮機):冷媒を圧縮して循環させる心臓部。
  • コンデンサ(凝縮器):高温高圧の冷媒ガスを冷却して液化。
  • 膨張弁:冷媒の圧力を下げて低温化。
  • エバポレータ(蒸発器):冷媒が蒸発し、熱を奪う熱交換部。
  • 循環ポンプ:冷却水や熱媒を装置へ循環させる。
  • タンク:冷却液を貯める貯水槽。
  • 制御盤:温度調整、警報、運転管理を行う制御ユニット。

動作原理

チラーは冷凍サイクルによって冷却を行います。

  1. コンプレッサで冷媒ガスを圧縮し、高温高圧状態にする。
  2. コンデンサで冷媒を冷却・凝縮して液化。
  3. 膨張弁で冷媒圧力を下げ、低温の液体にする。
  4. エバポレータで冷媒が蒸発し、冷却水やオイルから熱を奪う。
  5. 冷媒が再びコンプレッサに戻り、サイクルを繰り返す。

チラーの種類

① 冷却方式による分類

  • 空冷式チラー:外気で冷媒を冷やすタイプ。設置が容易で保守性が高い。
  • 水冷式チラー:冷却水を使用。高効率で大型設備に適する。

② 冷媒循環方式による分類

  • スクロールチラー:スクロール圧縮機を使用。静音・省エネ・小型装置向け。
  • スクリューチラー:スクリュー式圧縮機で大風量・高効率。中~大型設備向け。
  • ターボチラー:遠心圧縮機を用いた大容量タイプ。プラント・ビル空調に使用。

③ 温度制御範囲による分類

  • 低温チラー:−20℃以下の冷却が可能。冷凍・分析・試験用途。
  • 常温チラー:一般的な機器冷却用途(5〜30℃)。
  • 温調チラー:加熱機能も備え、ヒーターと連動して温度を一定に保つ。

用途

  • 射出成形・押出成形など金型の冷却
  • レーザー加工機・溶接機の冷却
  • 半導体・電子部品製造設備の温度管理
  • 試験装置・分析機器の熱安定化
  • 油圧装置・真空ポンプ・コンプレッサの冷却
  • 食品・医薬・化学プロセスの冷却

選定のポイント

  • 必要な冷却能力(kWまたはkcal/h)
  • 冷却液の種類(純水・エチレングリコール・油など)
  • 運転温度範囲・精度(±0.1℃など)
  • 空冷式/水冷式の選定
  • 省エネ性・メンテナンス性・設置スペース

主なメーカーと特徴

オリオン機械株式会社

業界トップクラスのチラーメーカー。精密温調・オイル冷却・水冷式など幅広い用途に対応。
公式サイトはこちら

荏原冷熱システム株式会社

大型ターボチラー・水冷式ユニットを中心に展開。省エネ性能に優れる。
公式サイトはこちら

日立産機システム株式会社

空冷式・水冷式ともにラインアップ。制御性に優れた高信頼チラーを提供。
公式サイトはこちら

ダイキン工業株式会社

空調技術を応用した冷凍機・チラーを展開。ビル空調・設備用として世界的実績。
公式サイトはこちら

三菱電機株式会社

工場設備用水冷チラー・冷水ユニットを展開。FAシステムとの連携性が高い。
公式サイトはこちら

メーカー比較表

メーカー 主力製品 特徴 主な用途
オリオン機械 RKS・RKEシリーズ 高精度温調・省スペース FA・金型冷却
荏原冷熱システム ターボチラー 大容量・高効率 プラント・ビル設備
日立産機 HRSシリーズ 安定運転・高信頼性 産業設備
ダイキン リモートチラー 空調・冷凍技術を応用 空調・設備冷却
三菱電機 水冷ユニット FA制御対応 工場・制御装置

購入先・通販サイト

Q&A

Q. チラーと熱交換器の違いは?

A. 熱交換器は熱を移す装置、チラーは冷却源(冷凍機)を持ち、液体を循環させる装置です。
チラー内部に熱交換器が内蔵されています。

Q. チラーはどのくらいの温度まで冷やせますか?

A. 一般的な水冷チラーは5〜30℃、低温チラーは−20℃前後まで対応可能です。

Q. メンテナンスのポイントは?

A. 冷却水フィルターの清掃、ドレン処理、冷媒漏れ点検を定期的に行うことで効率を維持できます。

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