
内面研削盤(Internal Grinder)は、円筒形ワークの内径や穴の内面を高精度に研削加工するための工作機械です。
ベアリング内輪、油圧部品、精密スリーブなどの内径仕上げに使用され、真円度や表面粗さの向上に欠かせません。
この記事では、内面研削盤の種類・構造・用途・代表メーカーについて詳しく解説します。
内面研削盤とは?(基礎知識)
内面研削盤は、回転する砥石をワークの内側に挿入し、内径面を高精度に仕上げるための工作機械です。
ボーリング加工では得られないサブミクロンレベルの精度を実現し、精密機械部品やベアリング、油圧機器などの製造に欠かせません。
高い真円度(0.001mm以下)と滑らかな鏡面仕上げが求められる分野で活躍します。
内面研削盤の主な種類
- 汎用内面研削盤:最も一般的なタイプ。手動またはNC制御で内径・端面を研削します。
- 複合内面研削盤:外径・内径・端面の複合加工が可能。工程短縮に有効。
- 無心内面研削盤:ワークをセンタで支持せず、連続的に研削を行うタイプ。小径・大量生産向け。
- NC・CNC内面研削盤:高精度位置決めや補正制御により、精密部品の量産に対応。
- ロータリー型(回転テーブル式):円盤状ワークの内径を複数同時に加工可能。効率性重視のタイプ。
内面研削盤の構造と仕組み
- 砥石主軸:小径の砥石を高速回転させて内面を研削。最大で10万回転以上の高回転タイプもあります。
- ワーク主軸:ワークを回転させ、砥石と相対運動を行います。
- テーブル:ワークや主軸を支持し、X軸・Z軸方向に移動します。
- ドレッサー:砥石の目立て・形状修正を行い、精度を維持します。
- 冷却装置:熱変形を防ぎ、加工面の品質を安定化させます。
内面研削盤の用途・活用例
- ベアリング内輪の内径研削
- 油圧シリンダ・スリーブの内径仕上げ
- 自動車部品(ピストン、ギヤボックスなど)の精密加工
- 金型・治具の穴精度調整
- 航空・医療機器の高精度穴加工
代表的な内面研削盤メーカーと特徴
岡本工作機械製作所(OKAMOTO)
平面・円筒に加えて内面研削盤も豊富に展開。高精度・高剛性構造で幅広い業界に対応。
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シギヤ精機製作所(SHIGIYA)
円筒研削技術をベースにした高精度内面研削盤を製造。NC・CNC制御にも強み。
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ナガセインテグレックス株式会社(NAGASE)
サブミクロン精度の超精密内面研削盤を開発。光学部品や高精度金型に採用されています。
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豊田工機株式会社(TOYODA / JTEKT)
自動車用ベアリング・軸受部品向けの量産型CNC内面研削盤を多数ラインナップ。
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黒田精工株式会社(KURODA)
精密金型や治具用途に適したコンパクト内面研削盤を展開。教育機関や試作現場でも利用されています。
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メーカー比較表
メーカー名 | 主な特徴 | 代表機種例 | 対象ユーザー |
---|---|---|---|
岡本工作機械 | 高剛性・汎用性・安定精度 | IGシリーズ | 金型・精密機械加工業 |
シギヤ精機 | NC制御技術・自動補正機能 | GISシリーズ | 自動車部品・量産ライン |
ナガセインテグレックス | ナノ精度・高剛性設計 | IGXシリーズ | 光学・超精密分野 |
豊田工機(JTEKT) | 量産対応・高耐久構造 | GIシリーズ | ベアリング・量産工場 |
黒田精工 | 小型・教育・研究用途向け | GI-20シリーズ | 試作・教育・研究機関 |
導入時のポイント
- ワーク径・深さに応じた砥石サイズ・ストロークの選定
- 砥石の回転数(高速タイプは精密仕上げに有効)
- 自動ドレッサーやCNC制御の有無を確認
- クーラント循環・防振設計の確認
- 加工環境の温度安定性を考慮
WEBでの購入・比較
中古・教育用の小型内面研削盤は通販サイトでも取り扱いがあります。
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楽天市場で内面研削盤を探す
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Q&A
Q. 内面研削盤と円筒研削盤の違いは?
A. 円筒研削盤は外径を加工し、内面研削盤は内径を加工します。用途やワーク形状で使い分けます。
Q. 内径が小さいワークも加工できますか?
A. 砥石径3mm以下の超小径タイプもあり、精密スリーブやノズル加工に対応可能です。
Q. 高速回転タイプのメリットは?
A. 微細な切り込みで滑らかな仕上げが可能になり、面粗度・真円度が向上します。