ワイヤーカット放電加工機とは?仕組み・種類・用途・メーカーを徹底解説

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ワイヤーカット放電加工機(Wire Cut EDM)は、細い金属ワイヤーを電極として使用し、放電エネルギーによって金属を高精度に切断する工作機械です。

切削やフライス加工では困難な複雑形状・高硬度金属の加工に対応し、金型や精密部品製作で欠かせない存在です。

この記事では、ワイヤーカット放電加工機の原理・構造・種類・代表メーカーについて詳しく解説します。




ワイヤーカット放電加工機とは?(基礎知識)

ワイヤーカット放電加工機は、直径0.05〜0.3mm程度のワイヤーを電極として使用し、放電により金属を切断する加工機です。

非接触で加工するため、ワークへの切削抵抗がなく、焼入れ鋼や超硬合金などの硬質材でも高精度に切断可能です。

精密金型、医療機器、電子部品、航空機部品などに広く使われています。

ワイヤーカット放電加工の仕組み

加工液中でワイヤーとワークの間に高電圧を印加し、放電を繰り返すことで金属を溶融・蒸発させて除去します。

ワイヤーは常に送り出されながら新しい面で放電を行い、摩耗を最小限に抑えます。

CNC制御により、精密な形状カットや多段加工も自動で実行可能です。

ワイヤーカット放電加工機の主な種類

  • 上下一致タイプ:上下のワイヤーガイドが同期して動作。高精度・直線加工に適しています。
  • 上下異動タイプ:上下のワイヤー位置を個別に制御し、テーパや複雑形状加工が可能。
  • 細線タイプ(Fine Wire EDM):ワイヤ径0.03mm以下で微細加工を行うモデル。電子・医療分野に使用。
  • 大物加工タイプ:大型プレート・金型などを加工する高出力・広ストローク機。

構造と主要部品

  • ワイヤー供給装置:ワイヤーを一定張力で供給・巻取りし、安定した放電を維持します。
  • ワイヤーガイド:上・下に配置され、放電位置を高精度に制御。
  • 加工液タンク:純水系の加工液を使用し、放電を安定化させます。
  • 制御装置(CNC):形状データに基づき、複雑な輪郭を自動加工。
  • 電源ユニット:放電エネルギーを制御し、粗加工から仕上げまでの条件を自動最適化。

ワイヤーカット放電加工機の用途・活用例

  • プレス金型・射出金型の精密切断加工
  • 超硬合金・焼入れ鋼の加工
  • 精密部品・電子部品の輪郭加工
  • タービンブレードやノズルの微細切断
  • 高精度な試作・治具製作

代表的なワイヤーカット放電加工機メーカーと特徴

三菱電機株式会社(MITSUBISHI ELECTRIC)

安定した放電制御技術で国内トップシェア。AI補正機能や自動ワイヤー結線など、操作性にも優れます。
公式サイトはこちら

ソディック株式会社(Sodick)

リニアモータ駆動と高応答制御技術を搭載。高速・高精度ワイヤーカット分野で世界的に評価が高いメーカーです。
公式サイトはこちら

西部電機株式会社(SEIBU ELECTRIC)

ワイヤーカット専業メーカー。省エネ設計と高い加工安定性を両立し、工具・金型製造に強みを持ちます。
公式サイトはこちら

牧野フライス製作所(MAKINO)

高精度金型用放電加工機を展開。仕上げ面品質の高さに定評があり、航空・自動車分野で採用。
公式サイトはこちら

ファナック株式会社(FANUC)

制御系・自動化に強いCNC技術を活かし、FAライン向けのワイヤーカット機を開発。
公式サイトはこちら

メーカー比較表

メーカー名 主な特徴 代表機種例 対象ユーザー
三菱電機 高精度制御・AI補正・自動結線 MV-Rシリーズ 金型・精密加工業
ソディック リニア駆動・微細加工に強い ALシリーズ 精密金型・電子部品業
西部電機 高信頼設計・省エネ性能 MMシリーズ 工具・金型製造業
牧野フライス製作所 高精度仕上げ・表面品質重視 UPシリーズ 航空・金型業界
ファナック FA連携・自動化ライン対応 α-Cシリーズ 自動化工場・量産業

導入時のポイント

  • 加工ワークのサイズ・厚み・材質を考慮して機種選定
  • ワイヤ径・材質(黄銅・亜鉛コーティングなど)を確認
  • 切断精度・面粗度の要求レベルに応じて制御方式を選択
  • 加工液のメンテナンス性・自動洗浄機能をチェック
  • 自動結線装置や省エネ機能の有無を確認

WEBでの購入・比較

中古・小型のワイヤーカット放電加工機は通販サイトでも取り扱いがあります。
Amazonでワイヤーカット放電加工機を探す
楽天市場でワイヤーカット放電加工機を探す
Yahoo!ショッピングでワイヤーカット放電加工機を探す



Q&A

Q. ワイヤーカットと形彫放電加工の違いは?

A. ワイヤーカットは細線で金属を切断し、形彫放電加工は電極形状を転写して加工します。切断か彫り込みかで用途が異なります。

Q. ワイヤーは再利用できますか?

A. いいえ。使用中に消耗するため基本的に使い捨てです。自動供給で常に新品部を使用します。

Q. 加工できる材料は?

A. 導電性のある金属(鋼、超硬、銅、チタン、アルミなど)であれば加工可能です。

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