形彫放電加工機とは?仕組み・種類・用途・メーカーを徹底解説

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形彫放電加工機(Die-sinking EDM)は、電極の形状をそのままワーク(金属)に転写し、非接触で金属を除去する放電加工機です。

金型の複雑なキャビティ(凹形状)や硬質金属の加工に優れ、精密金型製作に欠かせない設備です。

この記事では、形彫放電加工機の原理・構造・種類・代表メーカーを詳しく解説します。




形彫放電加工機とは?(基礎知識)

形彫放電加工機は、電極とワーク間に電気的放電を発生させ、その熱エネルギーによって金属を溶融・蒸発させることで、電極と同形状の凹みを形成する加工機です。

切削工具では加工できない複雑形状や高硬度材にも対応できるのが大きな特徴です。

主に金型、航空部品、医療機器、精密部品などの製造に用いられます。

形彫放電加工の仕組み

電極とワークの間に数十~数百μmの隙間を設け、加工液中で高電圧を印加します。

その結果、放電によって局所的な高温(約10,000℃)が発生し、金属が瞬時に溶融・蒸発します。

放電痕の積み重ねによって、電極形状と同じ凹形状が形成されます。

放電の間隔・エネルギー・タイミングはCNC制御によって精密に管理されます。

形彫放電加工機の主な種類

  • 汎用形彫放電加工機:最も一般的なタイプで、金型や精密部品加工に広く使用されます。
  • 高速形彫放電加工機:放電制御を高速化し、加工時間を短縮。大量生産ラインにも対応。
  • 微細放電加工機:微小電極を用いてサブミクロンレベルの加工が可能。電子部品や医療機器向け。
  • 油加工タイプ:絶縁油を使用し、滑らかな面仕上げと安定した放電を実現。
  • 水加工タイプ:環境負荷を低減したクリーン仕様。精密部品分野で採用が増加中。

構造と主要部品

  • 電極(Electrode):銅・グラファイト・銅タングステンなどが使用され、形状転写の元となる部品。
  • 主軸(Z軸):電極を上下動させ、放電間隙を一定に保ちながら加工を行います。
  • テーブル(X・Y軸):ワークを保持・位置決めし、NC制御で精密に移動。
  • 電源装置:放電電流・パルス幅を制御し、粗加工から仕上げまで最適化。
  • 加工液タンク:放電を安定化させ、加工屑を排出する絶縁性液体を循環。

形彫放電加工機の用途・活用例

  • 射出成形金型やプレス金型のキャビティ加工
  • 焼入れ鋼・超硬合金の凹形状加工
  • 冷却穴・リブ構造などの深穴加工
  • 航空・医療機器の精密形状部品製作
  • 複雑曲面や微細形状の加工(リブ・ピン・コアなど)

代表的な形彫放電加工機メーカーと特徴

ソディック株式会社(Sodick)

リニアモータ駆動と高応答制御で高精度・高速放電を実現。金型業界でトップシェアを誇ります。
公式サイトはこちら

三菱電機株式会社(MITSUBISHI ELECTRIC)

AIによる自動補正・放電制御技術を搭載。加工効率と表面品質の両立に優れます。
公式サイトはこちら

牧野フライス製作所(MAKINO)

超精密形彫加工の分野で世界的に高評価。安定した加工と優れた熱変位補正機能を備えます。
公式サイトはこちら

西部電機株式会社(SEIBU ELECTRIC)

ワイヤーカットに加え、形彫放電加工機でも高信頼性を発揮。コンパクトモデルも展開。
公式サイトはこちら

ファナック株式会社(FANUC)

FA連携やロボット制御との親和性が高く、自動化ライン向け形彫放電加工機を提供。
公式サイトはこちら

メーカー比較表

メーカー名 主な特徴 代表機種例 対象ユーザー
ソディック リニア駆動・高応答制御・精密金型向け ADシリーズ、AGシリーズ 金型・精密部品加工業
三菱電機 AI制御・高品質面仕上げ EAシリーズ 自動車・金型業界
牧野フライス製作所 高精度形状再現・安定加工 EDAFシリーズ 航空・金型メーカー
西部電機 高信頼性・省エネ設計 MMシリーズ 工具製造・精密加工
ファナック 自動化対応・CNC連携 α-Dシリーズ FAシステム導入企業

導入時のポイント

  • 加工対象(材質・形状・サイズ)に適した電極材を選定
  • 電源制御の応答性・仕上げ面精度を比較
  • 加工液(油/水)の仕様と環境性を確認
  • ワーク固定方法と自動化対応の有無を検討
  • AI制御やリニア駆動など高精度機能の有無

WEBでの購入・比較

中古・小型形彫放電加工機は、通販サイトでも取り扱いがあります。
Amazonで形彫放電加工機を探す
楽天市場で形彫放電加工機を探す
Yahoo!ショッピングで形彫放電加工機を探す



Q&A

Q. 形彫放電加工とワイヤーカット放電加工の違いは?

A. 形彫放電加工は「彫り込み加工」、ワイヤーカットは「切断加工」です。前者は電極形状を転写し、後者はワイヤーで輪郭を切り出します。

Q. 電極材料はどのように選べばよい?

A. 銅は導電性が高く仕上げに適し、グラファイトは加工速度が速く耐摩耗性に優れます。

Q. 放電加工の精度はどの程度?

A. 一般的に±2μm前後の精度が得られ、金型の最終加工にも使用されます。

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