
レーザー加工機(Laser Cutting Machine)は、高エネルギーのレーザー光を材料に照射して、切断・穴あけ・マーキング・溶接などを行う加工機です。
金属や樹脂、木材など多様な素材に対応でき、精密かつ非接触での加工が可能です。
近年では、CO₂レーザーやファイバーレーザーが主流となり、製造現場の自動化・高効率化を支えています。
この記事では、レーザー加工機の原理・種類・構造・代表メーカーについて詳しく解説します。
レーザー加工機とは?(基礎知識)
レーザー加工機は、レーザー光の熱エネルギーを利用して材料を溶融・蒸発させる加工機です。
切削工具のように物理的な接触がないため、摩耗やバリの発生が少なく、高速で高精度な加工が可能です。
鉄・アルミ・ステンレスなどの金属板の切断や、電子部品・自動車・建材・医療機器など幅広い分野で利用されています。
レーザー加工の原理
レーザー光をレンズで集光し、焦点部に高密度エネルギーを集中させて素材を瞬時に加熱・溶融・蒸発させます。
その際に、アシストガス(酸素・窒素・空気)を吹き付けることで溶融物を吹き飛ばし、滑らかな切断面を得ます。
非接触加工のため、変形が少なく、微細な形状加工にも適しています。
レーザー加工機の主な種類
- CO₂レーザー加工機:二酸化炭素を媒質とするレーザー。非金属(樹脂・木材など)や薄板金属の加工に適します。
- ファイバーレーザー加工機:光ファイバーを増幅媒質とした最新型。金属切断に強く、省エネ・高寿命。
- YAGレーザー加工機:高出力レーザーで溶接や穴あけに利用。反射金属にも対応。
- 半導体レーザー加工機:小型でマーキングや微細加工向け。電子部品製造などに使用。
構造と主要部品
- レーザー発振器:レーザー光を発生させる装置。CO₂・ファイバー・YAGなどのタイプがあります。
- 光学系・レンズユニット:レーザーを集光し、加工位置に正確に照射。
- 制御装置(CNC):加工パスや速度をプログラム制御。CAD/CAMデータとの連携も可能。
- アシストガス装置:酸素・窒素などを噴射して切断面の品質を向上。
- テーブル・ステージ:ワークを固定し、高精度に位置決めを行います。
レーザー加工機の用途・活用例
- 鉄・アルミ・ステンレス板の切断加工
- 電子機器や精密部品の微細穴加工
- 樹脂・木材の彫刻・マーキング
- 自動車部品や建築金物の製造
- 金型・試作部品の切断や調整加工
代表的なレーザー加工機メーカーと特徴
アマダ株式会社(AMADA)
板金加工機のリーディングメーカー。高出力ファイバーレーザーと自動化システムを組み合わせたソリューションを展開。
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三菱電機株式会社(MITSUBISHI ELECTRIC)
独自の発振器技術と制御ノウハウにより、高速・高精度なレーザー切断を実現。
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トルンプ株式会社(TRUMPF)
ドイツの工作機械大手。世界的に評価の高いファイバーレーザー技術と産業用溶接システムを展開。
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ヤマザキマザック株式会社(YAMAZAKI MAZAK)
切削機とレーザー技術を融合した複合加工機を開発。3Dレーザー加工やパイプ切断にも対応。
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コマツ産機株式会社(KOMATSU INDUSTRIES)
金属板の高精度切断で実績。産業機械分野に特化した堅牢設計が特徴です。
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メーカー比較表
メーカー名 | 主な特徴 | 代表機種例 | 対象ユーザー |
---|---|---|---|
アマダ | 板金加工に特化・自動化ライン構築 | ENSISシリーズ | 板金・製造業全般 |
三菱電機 | 独自発振器・高精度切断 | eXシリーズ、NXシリーズ | 金属加工・自動車部品業 |
トルンプ | 高出力・産業用レーザー技術 | TruLaserシリーズ | 重工業・海外ユーザー |
ヤマザキマザック | 複合加工・3D対応 | OPTIPLEXシリーズ | 多品種少量加工業 |
コマツ産機 | 堅牢構造・量産対応 | TLシリーズ | 大型部品・板金業 |
導入時のポイント
- 加工素材(金属・樹脂など)に適したレーザー方式を選定
- 出力・加工速度・切断厚さを確認
- ファイバー/CO₂など発振器の種類を比較
- ガス消費量・光学部品のメンテナンス性を確認
- 自動化装置(ローダー・アンローダー)対応を検討
WEBでの購入・比較
中古・小型レーザー加工機は通販サイトでも取り扱いがあります。
Amazonでレーザー加工機を探す
楽天市場でレーザー加工機を探す
Yahoo!ショッピングでレーザー加工機を探す
Q&A
Q. ファイバーレーザーとCO₂レーザーの違いは?
A. ファイバーレーザーは金属加工向きで省エネ・高効率、CO₂レーザーは樹脂や木材など非金属に適しています。
Q. どのくらいの厚さまで切断できますか?
A. 出力6kW級のファイバーレーザーなら、ステンレス20mm前後、鉄板25mm程度まで対応可能です。
Q. レーザー加工のデータはどう作成しますか?
A. CAD/CAMソフトで形状データを作成し、NCプログラムとしてレーザー加工機に転送します。