
工場の生産ラインや部品加工の中心となるのが「工作機械(Machine Tool)」です。
金属や樹脂などの素材を削る・切る・曲げる・成形するための装置で、製造業の“ものづくりの要”といわれています。
この記事では、代表的な工作機械の種類と特徴、用途、主要メーカーを体系的に整理して紹介します。
工作機械とは?(基礎知識)
工作機械とは、金属・樹脂・セラミックなどの素材を所定の形状に加工する機械の総称です。
旋削・フライス・研削・放電・成形など、加工方式により多くの種類に分かれます。
部品の精度を決めるため、CNC(数値制御)によって高精度・自動化された機種が主流です。
製造業では、生産の効率化・品質安定化に欠かせない存在です。
工作機械の分類
加工方法や構造によって、工作機械は以下のように分類されます。
① 切削加工機
- 旋盤(Lathe):金属を回転させながら工具で削る基本の工作機械。
- マシニングセンタ(Machining Center):自動工具交換機能を備え、穴あけ・フライス加工などを一台で行う複合機。
- フライス盤・ボール盤などもこのカテゴリに含まれます。
② 研削加工機
- 平面研削盤(Surface Grinder):砥石で表面を平滑に仕上げる機械。
- 円筒研削盤(Cylindrical Grinder):円筒形の部品を高精度に研削。
- 内面研削盤(Internal Grinder):内径面の仕上げ加工に用いられます。
③ 放電加工機
- 放電加工機(EDM):電極とワークの間に放電を起こし、金属を溶融除去する加工機。
- ワイヤーカット放電加工機(Wire Cut EDM):ワイヤー電極で金属を切断する高精度加工機。
- 形彫放電加工機(Die-sinking EDM):電極形状を転写して凹形状を形成。
④ 切断・加工機
- レーザー加工機(Laser Cutting Machine):レーザー光で金属や樹脂を高速切断。
- ウォータージェット加工機(Water Jet Cutting Machine):高圧水流で非熱切断を実現。
- プラズマ切断機(Plasma Cutting Machine):高温プラズマで厚板金属を高速切断。
⑤ 成形・塑性加工機
- プレス機(Press Machine):打ち抜き・曲げ・絞りなどの板金加工に使用。
- ベンダー(Bending Machine):板金やパイプを曲げる専用機。
- 射出成形機(Injection Molding Machine):プラスチックを溶融・射出して製品を成形。
主要な工作機械メーカー
- ヤマザキマザック株式会社(YAMAZAKI MAZAK):複合加工機の世界的リーダー。
- オークマ株式会社(OKUMA):高精度CNC技術と自社制御装置で有名。
- DMG森精機株式会社(DMG MORI):日本とドイツの技術融合による高性能機を提供。
- アマダ株式会社(AMADA):板金加工機の総合メーカー。
- コマツ産機株式会社(KOMATSU INDUSTRIES):プレス・ベンダー・レーザー加工分野で実績。
- ファナック株式会社(FANUC):CNC制御・ロボット・射出成形機分野で世界シェア上位。
導入時のポイント
- 加工対象(材質・形状・精度要求)に合った工作機械を選定
- 自動化・省人化を意識したCNC・ロボット対応モデルを検討
- メンテナンス・サービス拠点の充実度を確認
- 電力消費・設置スペース・冷却環境などの条件を考慮
- 将来的なIoT連携や稼働監視システム対応も視野に
関連記事リンク
- 旋盤(Lathe)とは?
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- レーザー加工機(Laser Cutting Machine)とは?
- プレス機(Press Machine)とは?
- 射出成形機(Injection Molding Machine)とは?
Q&A
Q. 工作機械と工具の違いは?
A. 工作機械は素材を加工する“装置”で、工具はその機械に取り付けて実際に切削する“刃物”部分を指します。
Q. CNCとは何の略ですか?
A. CNCは「Computer Numerical Control」の略で、コンピュータによる数値制御を意味します。自動で精密な加工を行えます。
Q. どのメーカーを選べばよい?
A. 加工の種類や求める精度、サービス体制で選びます。マザック・オークマ・DMG森精機などは国内外で高い評価を得ています。