真空度測定器(真空ゲージ)の基礎と使い方|真空装置の漏れ・性能診断に使う基礎ツール

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真空ポンプや真空チャンバーを用いる装置では、漏れや汚染、ポンプ性能の低下によって真空度が安定しなくなることがあります。

真空度測定器(真空ゲージ)は、こうした異常を数値で把握し、装置の健全性を評価するための基本ツールです。




真空度測定器とは?

真空度測定器は、チャンバーや配管内の圧力(真空度)を測定する装置です。

単位は主にPa(パスカル)またはTorr(トル)で表され、装置の真空状態を精密に評価します。

  • ポンプ性能や排気速度の確認
  • リーク(漏れ)箇所の特定
  • 工程ごとの到達真空度の比較
  • 定期点検・メンテナンス時の性能監視

真空の領域と代表的な用途

領域 圧力範囲 主な用途 代表的センサ方式
粗真空 105〜102 Pa 真空搬送・吸着装置 ブルドン管・ピラニゲージ
中真空 102〜10-1 Pa 脱気・乾燥炉 ピラニゲージ・サーモカップル式
高真空 10-1〜10-5 Pa 蒸着・スパッタリング装置 イオンゲージ
超高真空 10-5 Pa以下 分析装置・電子顕微鏡 冷陰極ゲージ

主なセンサ方式と特徴

  • ピラニゲージ:熱伝導を利用して圧力を測定。粗〜中真空向け。
  • サーモカップルゲージ:ヒータ温度変化で圧力を推定。耐久性高。
  • イオンゲージ:電子電流を利用した高真空測定。高感度。
  • 冷陰極ゲージ:磁場電離方式。超高真空域まで対応。

測定・診断の流れ

  1. ポンプ運転開始時から真空度の時間変化を記録
  2. 定常状態到達後の真空度を確認(基準値との比較)
  3. 真空度が安定しない場合はリークチェックを実施
  4. リーク箇所特定にはヘリウムリークディテクタなどを併用

異常傾向と主な原因

症状 測定傾向 考えられる原因
真空度が上がらない 圧力が下がらず安定 リーク・ポンプ性能低下・バルブ開放忘れ
真空度が一時的に悪化 周期的上昇・下降 オイルバック・ガス放出
真空度が変動 振動を伴う変化 チャンバー汚染・熱負荷変化

代表的なメーカーと特徴

メーカー 特徴
アルバック(ULVAC) 真空計測の国内トップブランド。各真空領域を網羅。
エドワーズ(Edwards) イギリス発の真空機器メーカー。ピラニ〜イオンゲージ対応。
INFICON(インフィコン) 高真空・半導体製造向け。通信機能付きデジタルゲージを提供。
アネルバ(ANELVA) 電子デバイス製造装置用真空計測システムを展開。
Leybold(ライボルト) 欧州老舗ブランド。産業真空から研究用途まで対応。

データ管理と診断活用

  • 運転ごとに真空立上り曲線を保存し、基準化
  • 異常発生時のトレンド変化から原因を推定
  • オンライン監視により、遠隔で真空度・温度・電流を一括管理
  • 異常パターンを学習してAI診断に応用する事例も増加

まとめ

真空度測定器は、真空装置の「性能・漏れ・清浄度」を可視化するための必須ツールです。

圧力値の変化を定期的に記録し、過去データと比較することで、ポンプ劣化やリークの早期検出が可能となります。

油圧・空圧系と並ぶ、流体診断の“第三の柱”として導入効果の高いツールです。



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