通電中の電線を切断せずに電流を測定できるクランプメーターは、電気工事・設備保全・産業機械の点検に欠かせない計測ツールです。
安全で効率的に測定ができ、電気トラブルの早期発見にも役立ちます。
本記事では、クランプメーターの仕組み・種類・使い方・選び方を詳しく解説します。
クランプメーターとは?
クランプメーターは、電線に流れる電流を非接触で測定できる計測器です。電線をクランプ(挟む)だけで測定できるため、配線を外したり回路を切断する必要がありません。感電リスクを最小限に抑え、安全に電流を確認できます。
主な用途
- 分電盤・ブレーカ回路の電流チェック
- モーター・ポンプなど設備の負荷測定
- 漏電・異常電流の診断
- 電力消費量の管理(電流値から換算)
クランプメーターの仕組み
クランプ部(リング状コア)が磁場を感知し、電流に比例した信号を電気的に検出します。測定原理により、主に2つの方式があります。
| 方式 | 特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| CT(変流器)方式 | 交流(AC)専用。構造がシンプルで安価。 | 一般的なAC回路測定 |
| ホール素子方式 | 交流・直流(AC/DC)両対応。精度が高い。 | 設備・車両電装・電池測定 |
クランプメーターの種類
| 種類 | 特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| AC専用タイプ | 交流電流のみ測定。住宅・工場の電源確認に最適。 | 一般電気工事 |
| AC/DC対応タイプ | 直流も測定可能。バッテリー・ソーラー対応。 | 自動車整備・設備保全 |
| 漏れ電流タイプ | mA単位の微小電流測定が可能。 | 漏電・絶縁診断 |
| 多機能型(マルチメータ機能付) | 電圧・抵抗・導通測定も可能。 | 総合点検用途 |
選び方のポイント
① 測定電流レンジ
- 一般工事用:〜400A
- 工場・モーター負荷用:〜1000A
- 漏れ電流測定:1mA〜60A対応モデル
② 測定対象(AC/DC)
交流専用タイプは家庭・事務所向け、直流対応モデルは車・バッテリー・太陽光設備などに必須です。
③ 機能性
- 電圧・抵抗・導通測定機能: 一台で多用途対応。
- バックライト付き表示: 暗所でも読みやすい。
- データホールド機能: 測定値を固定表示。
- オートレンジ: 自動で最適レンジ選択。
おすすめのクランプメーター
| 製品名 | 特徴 | 購入リンク |
|---|---|---|
| HIOKI CM4373 | AC/DC対応。電力・高調波測定にも対応した業務用モデル。 | Amazon| 楽天 |
| 三和電気計器 DCM2000DR | AC/DC600A対応。データホールド・最大値記録機能付き。 | Amazon| 楽天 |
| 共立電気計器 KEW SNAP 2033 | 軽量で扱いやすいAC専用タイプ。携帯用に便利。 | Amazon| 楽天 |
| エー・アンド・デイ CL-55 | 漏れ電流専用。mA単位の微小電流測定に対応。 | Amazon| 楽天 |
正しい使い方と測定手順
- 電流を測りたい電線1本をクランプで挟む(複数線NG)。
- 測定レンジ(AC/DC)を選択。
- 測定値を確認し、異常電流やバランスをチェック。
安全に使うための注意点
- 高電圧回路では絶縁手袋を着用。
- 電源OFF時に測定対象をセット。
- 2本の線を同時に挟むと電流が相殺されて誤測定。
- 定格を超える電流は測定しない。
メンテナンスと校正
- 年1回の校正を推奨(業務用は6か月に1回)。
- クランプ部にホコリや油分が付着しないよう清掃。
- 落下・衝撃を避け、ケースで保管。
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まとめ
クランプメーターは、配線を外さず安全に電流を測定できる便利なツールです。
AC/DC対応や漏れ電流測定機能を備えたモデルを選べば、設備点検から故障診断まで幅広く対応できます。
定期的な校正と安全対策を心がけ、正確な電流管理を行いましょう。












