インパクトレンチとナットランナーは、どちらもボルトやナットを締め付けるための工具ですが、用途・構造・締付け精度が大きく異なります。
この記事では、製造現場・整備現場それぞれでの使い分けを中心に、両者の違いをわかりやすく解説します。
インパクトレンチとは?
インパクトレンチは打撃式の高トルク工具で、主に自動車整備や機械メンテナンスで使用されます。
内部のハンマーが打撃を繰り返すことで、固着したナットを素早く緩めたり締めたりすることが可能です。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 構造 | モーター+ハンマー打撃機構 |
| トルク制御 | 手動感覚(数値制御は不可) |
| 用途 | ホイールナット、重機整備、設備保守 |
| トルク範囲 | 約200〜1000N・m(高出力) |
利点
- 強力なトルクで固着ボルトも緩む
- 軽量で携帯性が高く、現場作業向き
- バッテリー式モデルが多く取り回しが良い
欠点
- 打撃構造のため、トルク精度が低い
- 締めすぎやボルト破損のリスクがある
- 騒音・振動が大きい
ナットランナーとは?
ナットランナー(電動トルクレンチ)は、トルク管理に特化した締付け工具です。
製造ラインや組立工程で、ボルトを一定のトルクで正確に締めるために使用されます。
モーター制御とセンサーで精密な締付けが可能です。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 構造 | モーター+減速ギア+トルクセンサー |
| トルク制御 | 電子制御(±数%の高精度) |
| 用途 | 製造ライン、車体組立、機械製造 |
| トルク範囲 | 約10〜1000N・m(設定可能) |
利点
- 締付けトルクを正確に数値管理できる
- データ記録やトレーサビリティ対応モデルもあり
- 打撃がなく静音で振動が少ない
欠点
- 装置が大型・高価で携帯性に欠ける
- 固着ボルトの緩め作業には不向き
インパクトレンチとナットランナーの違い一覧
| 項目 | インパクトレンチ | ナットランナー |
|---|---|---|
| 動作方式 | 打撃式(ハンマー構造) | モーター駆動+トルク制御式 |
| 締付け精度 | 低い(±20〜30%程度) | 高い(±5%以内) |
| 用途 | 分解・保守・整備作業 | 製造・組立工程 |
| トルク管理 | 目視・感覚で確認 | 数値設定・データ記録可能 |
| 振動・騒音 | 大きい | 小さい(打撃なし) |
| 価格帯 | 数万円程度 | 数十万円以上(産業用) |
用途での使い分け
- インパクトレンチ:自動車整備・現場メンテナンスなど、スピード重視の締付け・分解。
- ナットランナー:製造ラインでのトルク管理が必要なボルト締結。
- 製造と整備では目的が異なるため、兼用は基本的にできません。
代表的な製品
| 製品名 | 特徴 | 購入リンク |
|---|---|---|
| マキタ TW700DRGX インパクトレンチ | 最大トルク700N・m。自動車・重機整備に最適。 | Amazon| 楽天 |
| デスアウト(Desoutter)ナットランナー ERADシリーズ | 高精度トルクセンサー内蔵。工場ラインでの品質管理に最適。 | Amazon| 楽天 |
安全・品質管理のポイント
- レンチ使用後はトルクレンチで締付け確認を行う。
- ナットランナーは定期校正を行い、精度を維持する。
- 締付け履歴データを保存し、トレーサビリティを確保する。
- 作業者教育を行い、誤使用による破損や事故を防止する。
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まとめ
インパクトレンチは「速く・強く締める」ための工具、ナットランナーは「正確に・同じ力で締める」ための工具です。
現場整備・製造ラインで目的が異なるため、使い分けが重要です。
トルク管理と作業効率を両立することで、安全で高品質な締結作業が実現します。












