配電盤と分電盤は、どちらも電気設備に欠かせない「盤(パネル)」ですが、役割・設置場所・扱う電圧が大きく異なります。
この記事では、配電盤と分電盤の違いを、現場で使われる用語とあわせてわかりやすく解説します。
配電盤とは?
配電盤(Distribution board)は、受電した電力を建物内の大きな系統へ分岐・制御するための盤です。
高圧受電設備や電灯動力設備における中核となる装置で、大規模な建物・工場に必ず設置されます。
役割
- 受電した電力を各系統に送り出す
- 遮断器(ブレーカー)で系統ごとに保護
- 過電流・短絡の保護
- 電力量計・保護継電器などの搭載
設置場所の例
- 工場の受変電室
- 大型商業施設の電気室
- ビルの配電室
扱う電圧の目安
- 低圧(200V/400V)
- 高圧(6.6kV)
分電盤とは?
分電盤(Panel board / Load center)は、配電盤から受け取った電力を最終的な負荷(機械・照明・コンセント)へ振り分ける盤です。
建物内部のフロア・ライン・ライン設備に近い場所へ設置されます。
役割
- 照明・機器・コンセントへ電力を分配
- 分岐ブレーカーで回路を保護
- 設備ごとの過電流保護
設置場所の例
- 製造ライン横の壁面
- 建物の各階の電気室
- 事務所・設備室
扱う電圧の目安
- 低圧(100V / 200V)
配電盤と分電盤の違い(比較表)
| 項目 | 配電盤 | 分電盤 |
|---|---|---|
| 役割 | 大きな系統へ電力を分配 | 最終負荷へ分配 |
| 設置場所 | 受変電室・配電室 | フロア・機器の近く |
| 扱う電圧 | 高圧〜低圧 | 低圧のみ |
| 機器構成 | 高圧機器・母線・保護継電器 | 分岐ブレーカー・端子台 |
| 規模感 | 大型〜中型 | 中型〜小型 |
配電盤の構成要素
- 受電遮断器(VCB/MCCB)
- 母線(バスバー)
- 保護継電器
- 電力量計
- 避雷器(SPD)
分電盤の構成要素
- 分岐ブレーカー(MCB)
- 主幹ブレーカー
- 端子台
- 電力量計(場合により)
よくある誤解
「配電盤=大きい、分電盤=小さい」で判断してしまう
サイズではなく、電力をどこへ分岐するかで区別する。
「分電盤でも高圧を扱う」と誤解される
分電盤は低圧専用。高圧を扱うのは配電盤側。
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まとめ
配電盤と分電盤は似た名前ですが、役割が明確に異なります。
- 配電盤: 建物全体へ電力を分ける中核設備
- 分電盤: 機器・照明など最終回路へ電力を分配
- 扱う電圧・設置場所・構成機器が異なる
電気設備の理解において、この2つの違いを押さえることは非常に重要です。












