IP保護等級(Ingress Protection rating)とは、電気機器の防塵・防水性能を示す国際規格(IEC 60529)です。
産業機器、センサー、制御盤、屋外設備、ロボットなど、ほぼすべての電気製品で求められる性能指標のひとつです。
この記事では、IP 表記の読み方、数字が示す意味、IP65・IP67の違い、使用環境の目安をわかりやすく解説します。
IP保護等級とは?
IP(Ingress Protection)とは、電気機器がどの程度粉じん(Dust)や水(Water)から保護されているかを表す指標です。
IP規格の表記例:
IP65 / IP67 / IP54 / IP20
1桁目:防塵性能
2桁目:防水性能
IPの数字が表す意味
| 表示 | 意味 |
|---|---|
| IP | Ingress Protection(保護等級) |
| 6 | 防塵性能:粉じんが内部に侵入しない |
| 5 | 防水性能:あらゆる方向からの噴流水に耐える |
| 7 | 防水性能:水深1mに30分沈めても問題ない |
IP65の意味
防塵:6(完全防塵)
防水:5(噴流水に耐える)
特徴:
- 粉じんが内部に入らない
- 工場内の粉塵環境に強い
- 荒い水しぶき・ノズル洗浄に耐える
使用例:
- 工場ラインのセンサー
- 屋外盤(簡易防水)
- 食品・包装ラインの設備
IP67の意味
防塵:6(完全防塵)
防水:7(水没に耐える)
特徴:
- 完全防塵
- 水に沈めても壊れにくい
- 雨天・屋外・水槽近辺でも使用可能
使用例:
- 屋外センサー・監視カメラ
- 水回りの設備
- 食品洗浄工程の装置
IP65とIP67の違い
| 項目 | IP65 | IP67 |
|---|---|---|
| 防塵 | 完全防塵(同じ) | 完全防塵(同じ) |
| 防水 | 噴流水に耐える | 水没に耐える |
| 用途 | 屋内・簡易屋外 | 屋外・水回り・過酷環境 |
| 洗浄対応 | ノズル洗浄可 | 水中浸漬にも耐える |
どちらを選べばよい?(使用環境の目安)
IP65がおすすめのケース
- 粉じんが舞う工場環境
- 食品ラインの軽洗浄
- 雨が直接かからない屋外
IP67がおすすめのケース
- 屋外で直接雨にさらされる
- 水槽・湿潤環境
- 洗浄が多い食品ライン
IP保護等級で注意すべきポイント
- “防水”はあくまで規格条件での耐性
- 温度差で内部が結露する場合がある
- ケーブルグランドやコネクタ部もIP対応が必要
- 長期浸水はIP67でも非推奨
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まとめ
IP保護等級は、防塵・防水性能を表す国際的な指標です。
- IP65:完全防塵+噴流水に耐える
- IP67:完全防塵+水没に耐える
- 用途・洗浄条件・環境により選定が必要
- ケーブルやグランド部のIP対応も忘れずに
電気・制御機器の選定において、IP保護等級の理解は非常に重要です。












