プーリ(Pulley)は、回転運動をベルトで伝達するための軸取り付け用の円盤形ロータです。
モーター・コンプレッサー・搬送装置・ファンなど、あらゆる機械で使われる代表的な機械要素のひとつです。
この記事では、プーリの仕組み、種類、材質、ベルトとの組み合わせ、選定ポイントをわかりやすく解説します。
プーリとは?
プーリは、モーターなどの軸に取り付けて、ベルトを介して回転を伝えるための円盤です。
役割:
- モーターの回転を別軸へ伝える
- 回転数を変える(減速・増速)
- 負荷伝達の緩衝(ベルトによるクッション)
- 装置の振動・騒音を低減
プーリの構造
プーリは、中心の穴(ボア)と、外周の溝(ベルト溝)で構成されます。
- ボア(軸穴):キー溝やテーパー仕様がある
- ベルト溝:Vベルト、タイミングベルトなど用途で形状が異なる
プーリの種類
① Vプーリ(Vベルト用)
最も一般的。摩擦力が大きく、動力伝達効率が高い。
② タイミングプーリ(歯付きベルト用)
ベルトと歯が噛み合い、正確な角度同期が可能。
ロボット・搬送装置などで使用。
③ 平ベルトプーリ
滑りやすいが高速回転に向く。
④ テーパブッシュ式プーリ
軸への取り付けが容易で汎用性が高い。
プーリの材質
① 鋳鉄
- 一般的で強度が高い
- 価格も比較的安い
- 産業機械に多用
② アルミ
- 軽量で応答性が高い
- 高速回転装置に向く
③ 樹脂
- 軽量・低騒音
- 小型装置・クリーン用途に適する
ベルトの種類(プーリと組み合わせる要素)
① Vベルト
- 高負荷対応
- 産業機械で最も一般的
- 溝形状が規格化されている
② タイミングベルト
- 歯付きで滑らない
- 位置同期や角度制御に最適
③ 平ベルト
- 高速回転で使用
- 低騒音、軽負荷向け
プーリ選定のポイント
- ベルトの種類(V / タイミング / 平ベルト)
- 軸径・キー溝の有無
- 回転数・トルク
- 材質(鋳鉄・アルミ・樹脂)
- 使用環境(温度・湿度・粉じん)
よくあるトラブル
- ベルトのスリップ → 張力不足、摩耗、溝形状の不一致
- 異音・振動 → プーリ芯ズレ、摩耗、バランス不良
- ベルトの早期破損 → 張りすぎ・外乱・芯ズレ
関連記事(glossary 内から厳選)
関連書籍
まとめ
プーリは、ベルトを使って回転を伝える基本的な機械要素です。
- Vプーリ・タイミングプーリなどの種類がある
- 材質は鋳鉄・アルミ・樹脂など用途で選ぶ
- ベルトの種類で溝形状が決まる
- 回転数・トルク・軸径から選定する
装置の回転伝達に欠かせない要素であり、正しい選定は設備の寿命にも大きく影響します。












