芯出し(アライメント調整)とは、モータ・ポンプ・減速機・カップリングなどの回転体同士の中心軸を正確に合わせる作業のことです。
芯出しが不十分だと、振動・騒音・発熱・ベアリング寿命低下など、設備トラブルの主要因になります。
この記事では、芯出しの目的、ズレの種類、調整方法、測定に使う工具までわかりやすく解説します。
芯出し(アライメント)とは?
芯出しとは、回転機械同士の「軸の中心線」を一致させる作業です。
芯ズレは大きく以下の3種類に分類されます:
- 平行ズレ(オフセット):軸が平行のまま位置だけずれている
- 角度ズレ(アンギュラ):軸の角度がずれている
- 合成ズレ:平行+角度の複合ズレ
これらを適正範囲に収めることが芯出しの目的です。
芯ズレが引き起こすトラブル
芯出し不足は設備寿命を著しく縮めます。
- ベアリング・シールの早期摩耗
- カップリングの異常振動
- モータ電流の増加・過負荷
- 騒音・発熱の増大
- シャフトの曲がりや破損
特に回転数が高い設備では僅かなズレでも大きな問題に発展します。
芯出しの測定方法
① ダイヤルゲージ(一般的・高精度)
フランジやカップリングに磁器ベースを取り付け、
0°/90°/180°/270° の4点で測定する。
② レーザーアライメント(最新型)
・測定のばらつきが少ない
・作業時間の短縮
・大型設備で有効
③ シム調整と併用するツール
- シックネスゲージ
- 水平器(精密レベル)
- 直角定規
芯出しの調整手順
一般的なモータ+ポンプの芯出し手順です。
- モータ固定ボルトを緩める
- 初期状態を測定(基準値確認)
- シムを追加・除去して高さ調整
- 横方向の平行ズレを修正
- 角度ズレを修正
- 再測定して規定値以下であることを確認
調整→測定を2〜3回繰り返すのが一般的です。
許容値の目安
設備やメーカーによって異なりますが、一般的には:
- 平行ズレ:0.05mm 以下
- 角度ズレ:0.05mm / 100mm 以下
回転数が高い設備ほど厳しい許容値が求められます。
芯出しを確実に行うポイント
- ボルト仮締め中の「動き」を確認する
- 必ず2回以上再測定する
- シムは重ねすぎない(3枚以内が理想)
- 温度上昇後に再確認する
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まとめ
芯出しは回転機械のトラブルを防ぎ、寿命や効率を最大化する基本作業です。
- 芯ズレは平行・角度・合成の3種類
- 測定はダイヤルゲージかレーザー
- 許容値は 0.05mm 程度が目安
- シム調整と再測定が最重要ポイント
適切な芯出しは、装置全体の信頼性向上に直結します。












