ランアウト(Runout)とは、回転体の軸心が完全に真円で回らず、わずかに振れてしまう現象のことです。
加工精度の不足、軸の曲がり、芯出し不良などが原因で発生し、回転機械の騒音・振動・ベアリング寿命低下に直結します。
この記事では、ランアウトの基礎、測定方法、許容値、主な原因、改善方法までわかりやすく解説します。
ランアウト(振れ)とは?
ランアウトとは、回転体の中心が理想の回転軌道からずれることです。
簡単に言うと:
回転軸が“円”ではなく“楕円”のように回ってしまう状態
ランアウトは大きく以下に分類されます。
- ラジアルランアウト:軸方向に対して横方向の振れ
- アキシャルランアウト:端面が左右に揺れる振れ
ランアウトの測定方法
① ダイヤルゲージでの測定(最も一般的)
- シャフトを手で回す
- ダイヤルゲージの針の振れ幅を見る
- 最大値 − 最小値がランアウト量
測定位置:
- 軸の円周(ラジアル)
- 端面(アキシャル)
② インジケータ+Vブロック
精密加工部品の測定に最適。
③ レーザー測定器
設備保全での高精度測定で使用。
許容値の一般目安
用途により異なるが、代表的には:
- 一般モータ:0.02〜0.05mm
- 高精度主軸:0.001〜0.005mm
ランアウトが発生する主な原因
① 軸の曲がり
最も一般的な原因。衝撃・過負荷・製造誤差などで発生。
② 取り付け不良(芯出し不足)
カップリング・プーリなどの偏心取り付け。
③ 端面の加工精度不足
フランジ・プーリ・チャックの端面振れ。
④ ベアリングの摩耗
遊びが増えて軸が不安定になる。
⑤ バランス不良
回転体の重量分布が偏ることで発生。
⑥ 汚れ・異物の噛み込み
シート面に異物が入ると瞬時にランアウトが増加。
ランアウトが引き起こすトラブル
- 異常振動
- 騒音増加
- ベアリング寿命低下
- カップリングの摩耗
- シール性低下・漏れ
- 加工精度の悪化(工作機械)
ランアウトを改善する方法
- 芯出し(アライメント)を正確に行う
- 曲がった軸は交換する
- フランジ面の清掃(異物除去)
- 取り付け面の精度確認(バリ取り)
- 回転バランス調整(アンバランス除去)
特に「芯出し不良」は振れの主原因なので、組付け時の管理が重要です。
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まとめ
ランアウトは、装置の回転精度・寿命・振動に大きく影響する重要な指標です。
- ランアウトにはラジアルとアキシャルがある
- 0.01〜0.05mmでも問題になることがある
- 原因は「曲がり」「芯出し不足」「加工不良」がほとんど
- 定期測定と清掃・精度管理が改善のポイント
ランアウト管理を徹底することで、現場のトラブルや異音トラブルを大きく減らすことができます。












