エアシリンダのクッション機構(Cushion)とは、ピストンがストローク端に到達する際の衝撃を吸収し、動作をスムーズにするための減速機構です。
高速動作するシリンダでは、クッションが無いと「ガツン」と強い衝撃が発生し、騒音・摩耗・装置破損の原因になります。
この記事では、クッション機構のしくみ、調整方法、使い方のポイントまで初心者にも分かりやすく解説します。
クッション機構とは?
クッション機構とは、エアシリンダのピストンがエンド近くで自動的に減速する仕組みです。
エアを排出するルートを一時的に絞ることで、空気の圧力が抵抗となり減速します。
クッションが無い場合の問題
- ストローク端で強い衝撃が出る
- シリンダ内部の摩耗増加
- 固定具・ブラケットの破損リスク
- 騒音が大きい
- ワークを傷つける可能性
高速動作を行う装置ではクッション必須です。
クッション機構のしくみ
① クッションピン(ストローク端で開口を塞ぐ)
ピストンがエンドに近づくと、排気ポートの一部を塞いで空気の逃げ道を制限する。
② クッションバルブ(絞り調整)
外部のクッション調整ねじで排気量を制御し、減速強さを調整できる。
③ 最終的には微量排気で滑らかに停止
ピストンが「スッ」と静かに着座する状態を作る。
クッション機構の種類
① メカニカルクッション(一般的)
クッションピン+絞りバルブ方式
→ 標準的な空圧シリンダに搭載される。
② エアクッション(空気溜まりを利用)
より高い衝撃吸収性能を持つ。
③ ラバークッション(ゴムによる吸収)
低速・軽負荷向け。
→ 騒音は小さいが減速能力は弱い。
クッション調整のポイント(実務向け)
① 最初は締め気味に調整する
締めた状態からゆっくり戻すと調整しやすい。
② エンド付近で滑らかに減速しているか確認
「バシッ」と音がする場合 → 絞り不足
「動きが鈍い」 → 絞りすぎ
③ 動作速度とワーク重量のバランスを見る
重荷重ほどクッションを強くする必要がある。
④ 温度や油分によって動作が変わる
環境変化が大きい装置では、定期点検が必要。
クッション機構が必要な場面
- 高速ストローク(200〜500mm/s以上)
- 重いワークを移動する装置
- 端部にワークを当てる工程
- 低騒音化が求められる設備
特に高速搬送・アクチュエータ系では欠かせません。
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まとめ
クッション機構は、エアシリンダの衝撃や騒音を抑え、寿命や動作安定性を向上させる重要な要素です。
- クッション=ストローク端で自動減速
- 衝撃・摩耗・騒音の低減に必須
- 調整は締め気味から始めると良い
- 高速・重荷重の用途に特に重要
適切なクッション調整により、装置寿命と動作品質が大きく向上します。












