ロッドレスシリンダ(Rodless Cylinder)とは、シリンダ内部のピストンと外部の可動テーブルがロッド(棒)なしで連結される構造の空圧シリンダです。
一般的なロッドタイプに比べて省スペースで長ストロークが可能なため、搬送・位置決め・装置内の直線ガイド用途で広く使用されています。
この記事では、ロッドレスシリンダの種類、仕組み、メリット・デメリット、用途を初心者にも分かりやすく解説します。
ロッドレスシリンダとは?
ロッドレスシリンダは、シリンダ内部のピストンを外部へロッドとして出さず、シリンダと平行に配置されたスライダ(テーブル)が動く構造です。
一般的なロッドシリンダ:
- ストローク分だけ全長が長くなる
ロッドレスシリンダ:
- 長ストロークでも全長を短くできる
- 左右どちら側にも等しく動作可能
省スペース設計が求められる装置で非常に有効です。
ロッドレスシリンダの種類
① 磁気カップリング式(Magnet Coupling)
内部ピストンと外部スライダを磁力で引き合う構造。
特徴:
- シールが完全に塞がれており、エア漏れほぼゼロ
- クリーンルームなど粉塵を嫌う環境に最適
- 高荷重には不向き(磁力に限界)
② スライダ結合式(Mechanical Coupling)
内部ピストンと外部スライダをメカで直接連結する方式。
特徴:
- 高荷重に対応
- ガイド精度が高い
- シール部に小さなスリットがある
③ ベルト駆動式(ロングストローク対応)
エアシリンダではなく、エア駆動ベルトを使用するタイプ。
特徴:
- 最長数mクラスのストロークに対応
- 高速搬送に向く
用途に応じて使い分けます。
ロッドレスシリンダのメリット
- 装置の省スペース化ができる
- 長ストローク(1〜3mなど)が容易
- ロッド伸長による横力問題がない
- 両方向で同じ力が得られる
ロッドシリンダのように「ロッドのたわみ・曲げ」を気にする必要がありません。
ロッドレスシリンダのデメリット
- 価格がロッドタイプより高め
- ガイド精度が必要(スライダ支持)
- スリット部から微量のエア漏れが出る場合がある
- シール摩耗が早い場合がある
高速搬送では特に、定期的なシール交換が重要です。
用途(どんな機械に向いている?)
- 搬送装置(長ストローク)
- ワーク位置決め
- ラベラー、包装機
- 電子部品搬送
- 食品・医薬品装置(磁気カップリング式)
ロッド式では実現が難しい「長距離の直線動作」に最適です。
選定時のチェックポイント
- 必要ストローク(1mを超える場合はロッドレス必須)
- ガイドの有無(外部ガイド搭載推奨)
- 負荷重量(磁気式 or メカ式を選択)
- クリーン環境の有無(磁気式が有利)
- 速度(高速搬送ならベルト駆動も検討)
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まとめ
ロッドレスシリンダは、省スペースで長ストロークを実現できる強力なアクチュエータです。
- ロッド無しで直線動作を実現
- 長ストローク・高速搬送に最適
- 磁気式・メカ式・ベルト駆動式がある
- クリーン環境では磁気式が有利
- 負荷条件に応じて適切なタイプを選定することが重要












