インラインフィルタ(Inline Filter)とは、空圧配管の途中に設置し、ゴミ・水分・錆・オイルミストなどの不純物を除去するフィルタです。
小型の点在する空圧機器を保護する目的で多く使われ、設備のトラブル防止に欠かせない重要な要素です。
この記事では、インラインフィルタの役割、構造、選定ポイント、用途までを初心者にも分かりやすく解説します。
インラインフィルタとは?
インラインフィルタは、空気圧配管の中間に設置するフィルタで、局所的に配置された空圧機器を保護するための小型フィルタです。
一般的なメインフィルタ(圧縮機出口・FRLユニット)と違い、
- アクチュエータの直前
- 電磁弁の直前
- エアブローの直前
など、特定の機器だけを守る用途で使われます。
インラインフィルタが必要な理由
空圧ラインには、実際に多くの不純物が混入しています。
- 配管内部の錆
- コンプレッサの油分
- 水分
- 金属粉・シール片
これらは、以下のトラブルを引き起こします。
- 電磁弁の固着
- シリンダのシール摩耗
- 流量低下
- 作動不良・動作速度の不安定
特に小型空圧機器は汚れに弱く、インラインフィルタで個別保護が必要です。
インラインフィルタの構造
主な構成要素
- フィルタエレメント(5μm・40μmなど)
- ハウジング(ケース)
- 接続口(ねじ・ワンタッチ)
空気中の固形物をエレメントで捕捉するシンプルな構造です。
フィルタの精度(ろ過精度)
- 40μm:一般的な空圧機器向け
- 5μm:精密機器向け(電磁弁・小型シリンダ)
- 1μm:高精度用途
精度が細かいほど圧力損失が大きくなるため、用途に合わせた選定が重要です。
インラインフィルタの種類
① エレメント式(最も一般的)
繊維・樹脂エレメントで固形物を捕捉。
② メタルメッシュ式(再利用可能)
分解して洗浄できるためランニングコスト低減。
③ サイレントフィルタ(低圧損)
高流量用途向け。
用途(どこに使う?)
- 電磁弁の二次側
- エアシリンダの入口
- 真空発生器の入口
- 小型アクチュエータの保護
- エアブローの清浄化
低コストで設置できるため、局所保全で非常に効果的です。
選定時のポイント
① ろ過精度(μm)
精密機器には5μm以下が推奨。
② 流量(L/min)
シリンダの速度・容量に応じて決定。
③ 接続方式
- ねじ接続(Rc1/8、1/4など)
- ワンタッチ継手内蔵型
④ 圧力損失
圧損が大きいと動作が重くなるため注意。
⑤ 交換周期
環境や使用頻度で大きく変わるが、一般的には半年〜1年。
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まとめ
インラインフィルタは、小型空圧機器を保護し、動作不良の予防に大きく貢献します。
- 局所的に不純物を除去する小型フィルタ
- 電磁弁・シリンダの保護に最適
- ろ過精度・圧損・流量で選定する
- 環境によって交換サイクルが変わるため注意
装置の安定稼働や保全の効率化に欠かせない要素です。












