リリーフバルブとは?油圧回路の安全機構をわかりやすく解説

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リリーフバルブ(Relief Valve)とは、油圧回路の圧力が設定値以上になったときに、油をタンクへ逃がして圧力を制御する安全バルブです。

油圧装置では最も重要な保護機能であり、過負荷によるホース破裂・ポンプ故障・装置破損を防ぐ役割を持ちます。

この記事では、リリーフバルブの仕組み、種類、設定方法、使い方のポイントまでを初心者にも分かりやすく解説します。



リリーフバルブとは?

リリーフバルブは、油圧回路の圧力を一定値に保つための安全弁で、過剰な圧力を逃がすための「逃がし弁」として働きます。

圧力が設定値を超えると弁が開き、タンクに油が戻される仕組みです。

なぜ必要なのか?

油圧は非常に強力で、設定値を超えると以下の危険が発生します:

  • 配管・ホースの破裂
  • シリンダの破損
  • 油圧ポンプの過負荷・焼損
  • ワークや装置の損傷

リリーフバルブはこれらを防ぐ「最後の砦」です。

リリーフバルブの仕組み(動作原理)

① バネ(スプリング)で弁を押さえる

通常はバネの力で弁が閉じており、油は通らない。

② 圧力が上昇すると弁が押し上げられる

油圧が設定値を超えると、弁が開いてタンクへ油が流れる。

③ 圧力が下がると再び弁が閉じる

必要に応じて開閉を繰り返し、圧力を安全に制御する。

リリーフバルブの種類

① 直動形リリーフバルブ(小流量・応答が速い)

スプリングとポペット(弁体)のシンプル構造。

小型装置・一般油圧に多く使用。

② パイロット式リリーフバルブ(高流量・安定性が高い)

小さなパイロット弁で大流量の弁を制御する方式。

負荷変動が大きい装置に向く。

③ 圧力制御弁(リリーフ機能を含む総称)

安全弁・減圧弁・背圧弁などに分類される。



リリーフバルブの設定方法(実務向け)

① 負荷の最大使用圧力を確認する

シリンダ・ホース・継手・機器の耐圧を基準に設定。

② 初期設定は低めから調整する

最初から高圧で設定すると事故の原因になる。

③ 圧力計を見ながらゆっくり調整する

設定ねじを締めることで設定圧が上昇する。

④ 作動確認を必ず行う

負荷をかけた状態で、設定圧で確実にリリーフするか確認する。

⑤ 温度による圧力変動を考慮する

油温上昇 → 粘度低下 → 圧力が変動する。

安全マージンが必要。

リリーフバルブの用途

  • 油圧ユニット(ポンプ保護)
  • プレス機
  • 射出成形機
  • 建設機械(ショベル・クレーン)
  • 工場設備の安全回路

油圧を使用するすべての装置に必要な安全機能です。

よくあるトラブルと原因

① 設定圧より低い圧力で作動する

  • スプリング疲労
  • 内部汚れ・異物かみ込み
  • パイロットラインの圧損

② 作動しない(非常に危険)

  • 設定が高すぎる
  • 弁の固着
  • 油の劣化・スラッジ

③ チャタリング(振動)

  • 流量過多
  • パイロット式の調整不良

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まとめ

リリーフバルブは、油圧回路の圧力を安全に管理するための最重要コンポーネントです。

  • 設定値を超えると圧力を逃がす「安全弁」
  • 装置破損や過負荷の防止に必須
  • 設定は低めから、安全マージンを持って調整する
  • 直動式・パイロット式の2種類がある

正しい設定・メンテナンスにより、油圧設備の安全性が飛躍的に高まります。



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