シールイン回路(Seal-in Circuit)とは、リレーや接触器を自己保持させるための回路で、設備の動作を一定状態に保つための基本的なラダー図の構成です。
電気制御を学ぶうえで必ず理解しておくべき重要項目のひとつです。
この記事では、シールイン回路の仕組み、ラダー図の読み方、よくあるトラブルまで初心者向けに解説します。
シールイン回路とは?
シールイン回路とは、リレーやコンタクタが一度オンになると、外部信号を離しても動作を継続する自己保持回路のことです。
「スタートボタンを離しても動作が続く」
この仕組みを実現するのがシールインです。
自己保持の目的
- 設備の動作状態を維持する
- 端子の押し続けなくてもよい
- 安全回路と組み合わせて誤動作を防止
シールイン回路のラダー図(基本形)
スタートボタン(NO)
ストップボタン(NC)
リレー(自己保持接点)
これらの組み合わせで構成されます。
回路の流れ
- スタートボタンを押す
- リレーがオン
- リレー自身の NO 接点が並列に導通
- スタートを離してもリレーは保持
- ストップボタン(NC)を押すと回路が切れて保持解除
設備の基本原理として非常に広く使われています。
シールイン回路を構成する要素
① スタートボタン(NO)
押したときにオンになる接点。
② ストップボタン(NC)
通常閉。安全性のため必ずNCを使用。
③ 自己保持接点(NO)
リレー自身についているNO接点を利用。
④ 出力リレー(Y/CR)
実際の機器を動かすための出力。
シールイン回路のメリット
- 動作状態を確実に保持できる
- 誤操作を防止できる
- PLCの入門として理解しやすい
実務でのシールイン回路の応用
① モータ起動保持
スタートボタンを押すだけでモータが継続運転。
② ランプ保持
制御盤の起動表示灯を保持。
③ 安全回路との組み合わせ
ストップ入力(NC)で強制停止。
PLCでのシールイン(自己保持)
リレー制御と同じ構造をラダー図で再現します。
- SET命令 / RST命令
- ラッチ(自己保持)
- 内部リレー(M接点)で保持
PLCでは自己保持の実装が容易で、より柔軟な回路設計が可能です。
よくあるトラブルと原因
① ストップボタンがNCではなくNOになっている
安全性不足で重大事故の原因に。
② 自己保持接点の抜け・書き忘れ
動作が保持されずすぐ停止する。
③ PLCのメモリ保持設定ミス
電源断後に状態を保持しないケースあり。
④ ノイズにより接点が誤動作
サージ対策・フィルタが必要。
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まとめ
シールイン回路は、設備を動作状態に保持するための基本的な自己保持回路です。
- スタート(NO)+ストップ(NC)+自己保持接点で構成
- 設備の基本動作のほとんどで使用される
- PLCでも同じ原理を使用
- 安全回路との組み合わせが必須
ラダー図の基礎として必ず理解しておくべき重要項目です。












