テーパー角度(Taper Angle)とは、軸や穴の形状が先細りになっている「傾斜の角度」のことです。
テーパー加工は精密機械部品、金型、シャフト、工具ホルダなどに広く使われ、加工方法も多岐にわたります。
この記事では、テーパー角度の意味、加工方法、測定基礎、図面での読み方まで初心者にも分かりやすく解説します。
テーパー角度とは?
テーパーとは、端に向かって太さが変化する形状(先細り形状)のことです。
テーパー角度=中心線に対する傾きの角度
一般に、穴や軸が下記の状態を指す:
- 軸が先細り(外テーパー)
- 穴が先広がり(内テーパー)
代表例:
- 工具ホルダ(モールステーパ MT)
- 自動車部品の円錐軸
- 金型の抜き勾配
図面におけるテーパー角度の指示例
① 角度で指示(一般的)
例:
テーパー角度 5°
② 勾配で指示(1:n 表記)
例:
1:10(長さ10に対し1の変化)
③ モールステーパなど規格名称で指示
例:
MT2、MT3
図面でどの方式が使われているか確認することが重要です。
テーパー角度の加工方法
① 旋盤のトップスライドを振って加工
最も一般的な方法。傾斜角度を決めて削る。
② 心押し台のオフセットによる加工
長いテーパー軸で使用される。
③ CNC旋盤のプログラム加工
G01、G02、G03などを使用し、高精度加工が可能。
④ マシニングでテーパーエンドミル/ボールエンドミル加工
金型・自動車部品に広く使われる。
⑤ リーマ・テーパードリルによる仕上げ加工
穴テーパーの仕上げ精度が高い。
テーパー角度の測定方法
① マイクロメータで前後の径を測る方法
外径テーパーの基本測定。
手順:
- 大径部・小径部を測定
- 距離(長さ)を測定
- 角度を計算(勾配=差分 ÷ 長さ)
② テーパーゲージで測定(内径テーパー)
穴側のテーパーを簡易測定できる便利な方法。
③ 三次元測定機(CMM)
高精度なテーパー角度測定に最適。
④ モールステーパ規格との差異を測定
工具ホルダなどの精度確認に必須。
よくある不良と原因
① テーパー角度が合わない
加工セットの角度ズレ、工具摩耗が原因。
② テーパー面が荒れる
切削条件不良、バイト形状不適正。
③ 公差範囲内でも組み付かない
テーパー角度だけでなく「直線度」「丸み」が原因のことも多い。
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まとめ
テーパー角度は、軸・穴・工具ホルダなど、多くの機械部品で重要な要素です。
- テーパー角度=中心線に対する傾斜角度
- 角度・勾配・規格名(MTなど)で指示される
- 加工方法により精度が大きく変わる
- 測定にはマイクロメータ・ゲージ・CMMを使用
加工・図面読解・組み立てに不可欠な基礎知識です。












