機械設備の動作が不安定になったり、寸法ずれが出たりする原因の一つが「ガタ(遊び)」です。
ガタ取りは、軸・ギア・案内・ベアリングなど多くの機械要素で必要となるメンテナンス作業です。
この記事では、ガタの原因、発生箇所、調整方法、測定のポイントまで、設備保全担当者向けにわかりやすく解説します。
ガタ(遊び)とは?
ガタとは、本来は動かないはずの部分に「不要なすき間(クリアランス)」が発生し、動作が不安定になる現象のことです。
- 振動・音が大きくなる
- 位置決め精度が落ちる
- 摩耗が進みやすくなる
- バックラッシ(ギアの遊び)が増える
ガタは自然に増加するため、定期的な調整が必要です。
ガタが発生しやすい機械要素
① 軸とベアリング
摩耗・クリアランス増加により軸が振れる。
② ギアのバックラッシ
歯面の摩耗により遊びが増加。
③ ボールねじ・リニアガイド
摩耗やプリロード低下が原因。
④ カップリングのゆるみ
偏心や振動悪化を引き起こす。
⑤ プーリ・ベルト
張力不足で滑りやガタが発生。
ガタ取りの方法(要素別)
① ベアリングのガタ取り
- 予圧(プリロード)を調整する
- 摩耗したベアリングを交換する
- 軸との嵌め合い精度を確認する
② ギアのガタ取り(バックラッシ調整)
- ギア間隔(センター距離)を調整
- 偏摩耗があれば交換
- はすば歯車の場合は軸方向位置を調整
③ ボールねじのガタ取り
- ナットのプリロード調整
- ボールサイズ変更(選別)
- 摩耗が大きければ交換
④ リニアガイドのガタ取り
- ブロックのプリロード確認
- レール位置調整
⑤ カップリングのガタ取り
- 締結ねじの増し締め
- キーのガタ・偏心を確認
- 摩耗部品の交換
ガタを測定する方法
① ダイヤルゲージで遊び量を測る
軸・ギア・ボールねじに広く使用。
② バックラッシ測定器
ギア専用測定。
③ 振動測定(振動診断)
ガタが振動として現れる。
④ トルク方向の反転量を確認
回転機構のガタ評価に効果的。
ガタを放置するとどうなる?
- 摩耗が急激に進行
- 位置決め精度の悪化
- ギア破損(歯欠け)
- ベアリング焼き付き
- 危険な振動の増加
ガタは「自然に増えていく」ため、定期点検が必須です。
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まとめ
ガタ取りは、機械の精度・寿命・安全性を守るための基本作業です。
- ガタ=クリアランスが過剰な状態
- 軸・ギア・ボールねじ・リニアが特に発生しやすい
- プリロード調整・交換・締結改善で解消
- 点検を怠ると摩耗が急増し重大故障につながる
定期的な測定と調整が、安定した稼働の鍵となります。












