モータやインバータ機器が「急に止まる」「力が弱くなる」といった現象の原因の一つに「チョーキング(choking)」があります。
現場では「詰まり」「過負荷状態」の意味で使われ、回転機のトラブルとして頻出する用語です。
この記事では、チョーキングの意味、発生原因、症状、改善方法を設備保全者向けにわかりやすく解説します。
チョーキングとは?
チョーキングとは、モータや送風機などの回転機が「過負荷状態」「詰まり状態」になり、
電流が増え、回転が維持できなくなる現象
を指します。
現場では主に次のような状況を「チョーキング」と呼びます。
- モータが重負荷で回らなくなる
- 風量が低下し、ファンが失速する
- 回転が遅れ、停止・過電流トリップが発生
英語での「choke=窒息」が語源となっている通り、回転が“息苦しい”状態です。
チョーキングが起きる原因
① 機械的な詰まり・異物混入
- ベルトコンベアへの物詰まり
- 送風機の羽根にゴミ付着
- ポンプの羽根車にスラッジ混入
負荷が急上昇し、モータが回れなくなります。
② ベアリングの摩耗・固着
潤滑不足・汚染により摩擦が増加し、モータが重くなる典型的要因。
③ ベルト・プーリの張力不足または過大
- 張力不足 → 滑り → 力が伝わらない
- 張力過多 → モータ負荷増大 → 過電流
どちらもチョーキングを引き起こす。
④ フィルタ目詰まり(送風機の典型)
吸気抵抗が上がり、ファンが“空気を吸えない”状態になる。
⑤ 電源電圧の低下
電圧降下により、必要トルクが得られず停止しやすい。
⑥ 過負荷運転(設計以上の負荷)
材料量の増加、ファンの高静圧化など、想定外負荷が原因。
チョーキングが発生するとどうなる?
- モータの温度上昇
- 過電流トリップ発生
- 回転が止まる(または低速化)
- 異音・振動の増大
- 絶縁劣化の加速
放置すると大きな故障につながります。
チョーキングの診断方法
① 電流波形の確認
- 定格より高い電流 → 過負荷
- 電流が脈動 → 機械的詰まり
② 回転数の低下チェック
回転が落ちている場合、チョーキングの可能性が高い。
③ 振動測定
固着やベアリング不良が原因の場合、振動値が増大。
④ 手回し確認
ファンやシャフトが重い場合は機械的トラブル。
チョーキングを防ぐ方法
- フィルタ・ダクトの清掃
- ベアリングの定期給油・交換
- 送風機羽根の洗浄
- ベルト張力の適正調整
- インバータの保護機能(過負荷保護)の活用
- 電源容量の見直し
設備保全では、定期点検と状態監視が最も有効です。
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まとめ
チョーキングは、モータやファンが過負荷状態となって回転できなくなる現象で、機械的トラブル・電気的要因のどちらでも発生します。
- 機械詰まり・フィルタ目詰まりが代表原因
- 電流上昇・温度上昇・回転低下が主な症状
- 定期清掃・潤滑・張力調整で予防できる
正しい診断と保全で、突発停止を未然に防ぐことができます。












