フレッティング摩耗とは?微小振動によって起きる損傷と原因・対策をわかりやすく解説

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フレッティング摩耗(Fretting Wear)とは、部品同士がわずかな振動や微小な擦れを繰り返すことで発生する摩耗のことです。

見た目は赤茶色の錆や粉が発生するのが特徴で、軸受・ボルト・接触面など機械設備の多くで発生します。

この記事では、フレッティング摩耗の仕組み、発生しやすい場所、原因、トラブル例、対策までを設備保全向けにわかりやすく解説します。



フレッティング摩耗とは?

フレッティング摩耗とは、

接触面が数μm〜数十μm程度の微小振動によってすり合わされ、摩耗粉が発生する現象

のことです。

接触部に酸化粉(赤茶色)が生じ、次のような症状が発生します。

  • 赤錆のような粉が出る
  • 摩耗痕が局所的に発生する
  • 締結が緩む、ガタが増える
  • 軸と穴の嵌合が悪化する

摩耗が進むと、重大な破損や脱落につながります。

フレッティング摩耗の発生メカニズム

フレッティング摩耗は、以下の3つの条件が揃うと発生します。

① 接触している(面圧がある)

ボルト・軸・ベアリングなど。

② 微小な相対運動がある

数μm程度でも発生。

③ 酸素が供給される

摩耗粉が酸化し、赤茶色の粉が発生する。

摩耗粉が研磨材となり、さらに摩耗が加速する悪循環が起きます。

フレッティング摩耗が起きやすい場所

  • ベアリング外輪とハウジングの嵌合部
  • 軸とカップリングの接触部
  • ボルト締結部(外力で揺さぶられる)
  • バルブステム・シート
  • ガイド・スライド部の接触面

振動を受ける設備では特に発生しやすいです。



フレッティング摩耗の原因

① 振動による微小運動

ファン・ポンプ・モータなど振動源が近いと発生。

② 締結不足(ボルト・軸)

ゆるい嵌合ほど相対運動が起きやすい。

③ 潤滑不足

油膜が破れ、金属同士が直接接触する。

④ 繰り返し荷重の変動

荷重の変動により摺動が繰り返される。

⑤ 低剛性の構造

部品がたわみやすく、微小変位が起こる。

フレッティング摩耗によるトラブル

  • ガタの増加・遊びの拡大
  • ボルトの締結力低下(緩み)
  • ベアリングの脱落・異常摩耗
  • 軸と穴の嵌合部破損
  • 異音・振動増大

放置すると重大故障の原因になります。

フレッティング摩耗の対策

① 十分な締結力の確保

ボルトは適正トルクで締結し、ゆるみ止めを使用。

② 潤滑剤の使用

油膜を安定させ、微小運動を抑制。

③ 表面処理(硬質化・コーティング)

  • 硬質クロム
  • 窒化処理
  • DLCコーティング

④ 振動源への対策

振動減衰材の使用、土台の剛性向上など。

⑤ 嵌合精度を適正化

ガタが大きい嵌合はフレッティングを起こしやすい。

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まとめ

フレッティング摩耗は、微小振動によって生じる接触面の損傷で、ガタ・摩耗・締結力低下などを引き起こす厄介な現象です。

  • 接触+微小振動+酸素が必須条件
  • 赤茶色の摩耗粉が特徴
  • 潤滑・締結改善・表面処理が効果的
  • 振動設備で発生しやすいため、早期発見が重要

正しい対策により、部品寿命と設備信頼性を大きく向上できます。



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