ロール(Roll)・ピッチ(Pitch)・ヨー(Yaw)とは、**物体の姿勢を表すための3つの回転軸**のことです。
航空機、ロボットアーム、カメラジンバル、AGV、産業用機械など、あらゆる分野で姿勢制御の基礎として使われています。
この記事では、3軸の意味、回転方向、産業機械での使われ方をわかりやすく解説します。
ロール・ピッチ・ヨーとは?(3軸の基本)
ロール・ピッチ・ヨーは、物体の向きを定義する **3つの回転軸(オイラー角)** のことです。
| 名称 | 回転軸 | 回転方向 |
|---|---|---|
| ロール(Roll) | 前後方向の軸(X軸) | 左右に傾く動き |
| ピッチ(Pitch) | 横方向の軸(Y軸) | うなずくような動き |
| ヨー(Yaw) | 垂直軸(Z軸) | 旋回・向きが変わる動き |
3つを組み合わせることで、空間における物体の姿勢を完全に表すことができます。
1. ロール(Roll)とは?
ロールは次のような動きを指します。
X軸(前後方向の軸)を中心に左右へ傾く回転
代表例:
- 飛行機が左右にバンクする動き
- ロボットアームの手首が左右に傾く回転
- 搬送装置でワークの傾斜補正を行う軸
2. ピッチ(Pitch)とは?
ピッチとは、
Y軸(左右方向の軸)を中心に物体が前後に倒れるような回転
代表例:
- 飛行機が上昇・下降する姿勢変化
- ロボットハンドが対象物に向けて上下角度を調整
- カメラジンバルの縦方向チルト動作
3. ヨー(Yaw)とは?
ヨーとは、
Z軸(上下方向の軸)を中心に左右へ向きを変える回転
代表例:
- 車が右左折するときの向きの変化
- AGVの旋回動作
- ロボットアームのベース回転
ロール・ピッチ・ヨーが必要な理由
① 姿勢制御の基本となるため
3軸を組み合わせることで、どんな姿勢も表現できる。
② ロボットやドローンでは必須
どう動くかを定義する基準軸になる。
③ センサー情報(加速度・ジャイロ)と相性が良い
IMUから得られる角速度をもとに姿勢を推定。
産業機械での活用例
- 6軸ロボットの姿勢計算
- AGV/AMRの走行方向制御
- カメラ姿勢制御(画像検査機)
- 工作機械の5軸制御(A軸・B軸)
- 搬送装置の傾斜補正
特に6軸ロボットでは、手先の位置と姿勢を決める上で不可欠な概念です。
ロール・ピッチ・ヨーとオイラー角の関係
ロール・ピッチ・ヨーは「オイラー角」の一種です。
3回の回転を順に行うことで姿勢を表す手法
ただし、以下の注意点があります。
- 回転順序が変わると姿勢が変わる
- 特定の姿勢で「万歳特異点(ジンバルロック)」が発生
ロボット制御では、四元数を使う場合もあります。
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まとめ
ロール・ピッチ・ヨーは、物体の姿勢を定義する3つの回転軸です。
- ロール=左右の傾き
- ピッチ=前後の傾き
- ヨー=向きの回転
- ロボット・AGV・航空機・カメラなどで必須
- 制御や位置決めの基礎となる概念
産業機械を扱ううえで、ロール・ピッチ・ヨーの理解は欠かせません。












