クローズドループ制御で「発振する」「ゲインを上げると不安定になる」といった問題が起きる背景には、位相遅れが深く関係しています。
位相遅れを理解せずに調整すると、制御系は簡単に不安定になります。
この記事では、位相遅れの意味、なぜ発生するのか、制御安定性との関係、現場での対策をわかりやすく解説します。
位相遅れとは?
位相遅れとは、
入力信号に対して、出力の応答が時間的に遅れて現れる現象
です。
制御工学では、角度(度)で表現されることが多く、遅れが大きいほど制御は不安定になります。
なぜクローズドループで位相遅れが問題になるのか?
クローズドループ制御は、出力結果をフィードバックして制御します。
- 応答が遅れる
- 古い情報で補正する
- 過剰補正が起きる
結果として、振動や発振につながります。
位相遅れが発生する主な要因
① 機械系の遅れ
- 慣性モーメント
- 摩擦・バックラッシ
- 剛性不足
② センサ・信号処理の遅れ
- フィルタ処理
- AD変換
- 通信遅延
③ 制御周期の遅れ
- PLCスキャンタイム
- 演算処理時間
位相遅れと発振の関係
位相遅れが大きくなると、
- 位相余裕が減少
- ゲイン余裕が減少
- 制御系が不安定
最悪の場合、自己発振が発生します。
位相余裕とは?
位相余裕とは、
不安定になるまでに残された位相の余裕
です。
一般に、位相余裕は30〜60°以上が望ましいとされます。
現場でよくある症状
- サーボモータのビビり
- 位置決め時の振動
- 停止直前の揺れ
- ゲインを上げられない
位相遅れへの実務的対策
① 制御ゲインを下げる
最も確実だが応答は遅くなる。
② 制御周期を短くする
演算遅れを減少。
③ フィルタの見直し
不要な遅れを削減。
④ 機械剛性の改善
バックラッシ除去、構造強化。
⑤ 微分項の適切な使用
ただしノイズに注意。
位相遅れとオープンループ制御の違い
オープンループではフィードバックがないため、位相遅れは問題になりにくいですが、精度は保証できません。
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まとめ
クローズドループ制御では、位相遅れが安定性を大きく左右します。
- 位相遅れは必ず存在する
- 遅れが大きいほど不安定
- 機械・制御の両面対策が重要
制御が不安定なときは、まず位相遅れを疑いましょう。












