インバータでモータを低速運転すると、「トルクが出ない」「動き出しが弱い」といった問題が起きることがあります。その対策として使われるのが過励磁ブーストです。
この記事では、インバータの過励磁ブーストの意味、必要になる理由、設定時の注意点を現場向けに解説します。
過励磁ブーストとは?
過励磁ブーストとは、
低周波・低速運転時に、モータへ印加する電圧を意図的に高めてトルクを確保する制御
です。
「トルクブースト」「電圧ブースト」とも呼ばれます。
なぜ低速でトルクが落ちるのか?
誘導モータでは、回転数が下がると次の影響が出ます。
- 逆起電力が小さい
- 巻線抵抗による電圧降下が相対的に大きい
結果として、磁束が弱まり、トルク不足が発生します。
過励磁ブーストの効果
- 低速域での始動トルク向上
- 負荷立ち上がりの安定化
- 低速失速の防止
V/f制御と過励磁ブースト
V/f制御では、周波数に比例して電圧を変化させます。
- 理論上は一定磁束
- 実際は低速で磁束不足
その不足分を補うのが過励磁ブーストです。
設定方法の一例
多くのインバータでは、以下のような設定項目があります。
- トルクブースト量(%)
- 自動ブースト / 手動ブースト
負荷に応じて調整します。
過励磁ブーストの注意点
- 過剰設定はモータ過熱の原因
- 電流増加に注意
- 低速連続運転では慎重に設定
ベクトル制御との違い
ベクトル制御では、磁束とトルクを分離制御するため、
- 過励磁ブーストが不要
- 低速でも安定トルク
となる場合があります。
現場でよくあるトラブル
- ブースト過多でモータ発熱
- 電流リミット動作
- 低速騒音の増加
どんな用途で有効か?
- コンベヤ始動
- ファン・ブロワの低速運転
- ギア付き減速機駆動
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まとめ
過励磁ブーストは、低速域のトルク不足を補うための重要な機能です。
- 低速始動を安定させる
- 設定しすぎは逆効果
- 負荷特性を理解して調整
正しく使えば、インバータ駆動の信頼性が大きく向上します。












