インバータ駆動中に、「加速途中で回転が止まる」「負荷をかけると回転数が落ちる」といった現象が発生することがあります。その原因の一つが電流リミット機能です。
この記事では、インバータの電流リミットとは何か、その動作原理と現場で起きやすいトラブルとの関係をわかりやすく解説します。
電流リミットとは?
電流リミットとは、
モータ電流が設定値を超えないように出力を自動制限する保護機能
のことです。
過電流によるインバータやモータの損傷を防ぐために搭載されています。
なぜ電流制限が必要なのか?
モータは過負荷状態になると電流が急増します。
そのまま放置すると、
- モータ過熱
- 絶縁劣化の加速
- インバータ素子の破損
といった重大トラブルにつながります。
そのため、一定電流以上になると出力周波数や電圧を抑制します。
電流リミット動作時に起きる現象
電流リミットが働くと、次のような挙動が見られます。
- 加速途中で回転数が上がらない
- 負荷増大時に速度が低下する
- 加減速時間が延びる
これは故障ではなく、保護機能が働いている状態です。
失速との違い
失速は、トルク不足により回転が維持できなくなる現象です。
電流リミットが原因の場合、電流値が上限付近で一定になるのが特徴です。
一方、機械的固着では電流が急増する傾向があります。
設定値の考え方
電流リミットの設定では、次を考慮します。
- モータ定格電流
- 一時的過負荷許容範囲
- 装置特性(慣性・始動トルク)
過度に低く設定すると、必要トルクが出せなくなります。
インバータ駆動で起きやすいケース
- 低速高トルク運転
- コンベヤの起動時
- 攪拌機の立ち上がり
- 容量不足モータ
容量選定ミスが原因で頻発するケースもあります。
現場での確認ポイント
電流リミットが疑われる場合は、
- モニタ表示の電流値確認
- 負荷状態の確認
- トルクブースト設定確認
を行います。
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まとめ
電流リミットは、インバータとモータを守る重要な保護機能です。
- 過電流を防ぐ安全機構
- 設定が低すぎるとトルク不足
- 負荷特性に合わせた調整が重要
現象を正しく理解すれば、不要な部品交換や誤診を防ぐことができます。












