コンタクタ(Contactor)は、モータやヒータなどの大電流負荷をオン・オフするための電磁開閉器です。
形状や構造はリレーに似ていますが、扱える電流量・用途・耐久性が大きく異なります。
この記事では、コンタクタの仕組み、用途、リレーとの違いを初心者にも分かりやすく解説します。
コンタクタとは?
コンタクタは、電磁石の力で接点を開閉し、大電流を安全にオン・オフするためのスイッチです。
工場設備・盤内機器で最も使用される電磁開閉器の一つで、モータ制御・電源ラインの入切に欠かせない存在です。
コンタクタの構造
- コイル(電磁石)
- 可動鉄心
- 主接点(大電流用)
- 補助接点(制御用)
コイルに電流を流すと鉄心が吸引され、接点が閉じる仕組みです。
リレーとの違い
リレーとコンタクタはどちらも「電磁石で接点を開閉する」点は同じですが、用途が明確に異なります。
| 項目 | リレー | コンタクタ |
|---|---|---|
| 用途 | 制御信号の切替 | 大電力のオン・オフ |
| 電流容量 | 小~中 | 大(数十A〜数百A) |
| 主接点 | 小型・軽負荷向け | 大型・アーク対策あり |
| 補助接点 | あり | あり(点数が多い) |
| 寿命 | 短め | 長い |
| 用途例 | PLC出力・信号切替 | モータ起動・電源ライン |
コンタクタの役割
コンタクタは工場設備・電気盤の中で次のような場面で使用されます。
- モータの起動・停止
- ヒータのオン・オフ
- 照明・ポンプの遠隔制御
- 電源ラインの切替
- 制御回路と動力回路の分離
特にモータ制御での使用が圧倒的に多いです。
コンタクタの定格(重要ポイント)
① 定格電流(AC-3、AC-1 など)
モータ負荷とヒーター負荷では接点条件が異なるため、IEC規格のAC-3、AC-1などの区分で能力を確認します。
② コイル電圧
- AC100V
- AC200V
- DC24V
盤構成に合わせて選定します。
③ 補助接点の構成
- a接点(NO)
- b接点(NC)
インターロック回路に使用されます。
コンタクタのよくある使い方
① 電磁開閉器としてモータを起動・停止
サーマルリレーとセットで使い、過電流時に保護可能。
② スター・デルタ始動
複数のコンタクタを組み合わせてモータ起動電流を抑える方式。
③ インターロック回路の構築
補助接点を利用して誤動作を防止。
コンタクタの寿命と交換の目安
- アークで主接点が摩耗 → 電圧降下・発熱
- コイルの断線・絶縁劣化
- 補助接点の接触不良
一般に数十万回〜数百万回が寿命の目安です。
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まとめ
コンタクタは、大電流負荷を安全にオン・オフするための重要な電磁開閉器です。
- 大電流用のスイッチ=コンタクタ
- 小信号用のスイッチ=リレー
- 補助接点でインターロックも構築可能
- モータ制御・電源ラインの入切で必須
用途に合わせて正しく使い分けることで、設備の安全性と信頼性が大きく向上します。












